もちろん全てのバレエに携わる人ではないが、私も含めて「無知」であるが故に、人を信じやすい面がある。そして、それを利用し、騙す人達も一定数いる。
これはどの社会にも言えることだけれど、狭いバレエ界だからこそ信頼関係が成り立ち、そこに契約書等が発生しないことも多い。
一般社会では考えられないようなことでも「素直に人を信じる」ということから脱却できないこともしばしばある。
それは低学歴も一要因でもあると思う。学ぶ、考える力を奪うことで、従順性を求めるバレエの先生があまりにも私の子供の頃は多かった。
ここで、記すことはあくまで私の一個人の経験で全てのバレエに携わる人に起こりうる物でもないが、逆に言うと起こらない可能性がゼロの事案でもない。人を騙し、騙されるのは人間の性であり、それはバレエ界だけに括られるものではない事を前提としている。
それ故に、私は今の若い世代のバレエに携わる子達に知識、見識、クリティカルシンキングを合わせ持つことを強く訴えるのである。
幼い頃から
「素直な子じゃないと上達しません!」
「人の話を素直に聞ける子じゃないとバレエはできません!」
と、バレエの先生達から耳にタコができるほど言われてきた言葉から来ているのかもしれない。
かく言う私もお金関係で借金の肩代わりをさせられそうになったことがある。バレエをある程度やってきた人たちは疑うことはまずは考えない。その身近な大人の言葉を信じる。そう植え付けられているのである。
バレエは踊りの全てであり、全ての踊りの根底にあると私は教えられ、長年そう思ってきたが、実際、自分でフラメンコを学び始めた際はバレエの下地は邪魔な物でしかなかった。だから、大人になって、自主性が出てきた頃に自然と他のダンスを学ぶことで、バレエが全てに通ずる物ではないことを知ったのである。
それは狭いバレエ界の中だけで生きてきた私の学ぶ事を怠った結果でもあったが、フラメンコという土壌、特にセビリアで本場のフラメンコを見た事が、自分の無知と向き合う大きなきっかけとなった。
しかし、対人間との「契約」に関してはまた別で、
下記に記すことは、単純に私が「性善説」でしか物事を考えず、契約書も交わさなかったという落ち度から発生した事例である。
今もその人は日本のバレエ界に生き、コンクールも主催しているから、なぜそういう経緯に至ったかの詳細は書かないが、その人が主催したバレエ公演を手伝った時、ほんのお手伝い(ボランティアだけど、チケットの販売はかなりした)のつもり、もしくは、自分が勉強させてもらうつもりで、その人の傍で生徒達の指導を見ていたことが発端。
バレエの自主公演というのはなかなか大変なもので、まず女性ダンサーを集めるのに労力がいる。
なぜならそこに
チケットノルマが
発生するからだ。
反面、男性はすぐ集まる。
なぜなら男性ダンサーはゲストダンサーであり、ほとんどの場合、言い値でギャラが決まる。少なくとも、この公演に出演していた男性ダンサーは100%一定のギャラが発生していた。
※少なくともその人のやり方はそうだった。
女性ダンサーが集まらない中、結局その人は、人がいないから私に踊るように命じた。
私は「No」は言えず、大人しく従うだけだった。
練習量も足りず、本番も散々だったけれど、それはともかく、問題はその後だった。
諸々あり、もう関わることはないだろうと思っていたのだが、ある日突然、知らない弁護士から私のバレエの稽古場に内容証明書が届いた。
前述のバレエ公演の際のある物の利用代金が未払いのため、至急払うようにとある。
驚いて連名でプログラムに名前が載っていたもう1人のバレエ関係者(Aさん)にどういうことか、すぐさま連絡を取り、お互い確認したが、その人も訳がわからないというふうだった。
それで、私が直接弁護士に、Aさんがその主催者のバレエ関係者に連絡を取ることにしたのだが、そこでカラクリがあった事を知った。
プログラムにその主催者以外に、私とAさんの名前が共同責任者のような形で掲載されていたため、未払金を請求してきた業者としては私たち3人が同一の立場にいるのだと思って弁護士を通して未払金の請求をしてきたのだった。
後から思うと、負債のことも考えて敢えて自分の名前だけを目立たせない方法を取ったのだろう。
それの裏付けとなったのが、これをきっかけに遡ること、その数年前にその主催者と共同主催のバレエ公演をした人に連絡を取って、その言葉から思った。(その人の、あの人またやるんだと思った。という言葉が印象的だった。)
その後、私は何度もその弁護士に電話をかけ、業者にも電話をかけた。Aさんの方も当の主催者本人と話はできたようだが進展はなく。
そういう事で、弁護士、業者、Aさんとのやりとりの日々の中、ふと思って、他の業者にも未払金がないかどうか問い合わせたところ、驚く事に、ほぼ全ての支払いが滞っていた。
結局、女性バレエダンサーから集めたお金は全て、
男性のギャラに
消えていた。
私とAさんは女性ダンサーからチケットノルマ代として集めたお金に全く関与していなかったから、全体の収支が全くもって把握できていなかった。そのため、最初の弁護士の話が全く意味が分からず、その後に連絡した当の業者(最初はこの業者が何者なのかすらも分かってなかった。)の言ってることも全くもって理解できなかった。
だから事情を説明するも、弁護士曰く、
「並列で名前が並んでる以上、こちらとしては同じ責任が伴うと判断しています。だから、3人のうち誰でもいいから支払いをして下さい。」と。
それで、その内容証明を受け取った日からレッスンの時間を除いてしつこいくらいに弁護士、業者の双方に連絡をし続けた結果、数週間後、弁護士の方でどうやらこちらの言っている事がその主催者の話よりは整合性が取れると判断をしてくれたようで、その後、
「⚪︎⚪︎さんが分割で払うということに合意した。」
という連絡が来た。
他の未払いの業者には先手を打っていたから、こちらに他の請求が来ることはなかったけれど、1ヶ月ほどして再び、他の弁護士を通して、他の請求としてそのバレエ公演主催者名義での内容証明が来た。
さすがに、またかと驚いたけれど、上にも書いた通り契約書も一切取り交わしていない、口頭だけで交わした話を誇張した内容証明書は一切の価値を持たず、こちらも内容証明として無駄なことは一切書かず、書かれてあった内容を全否定する形で返答をしたらその後は一切連絡が来ることはなかった。
もう10年以上の前のこと。
その頃はシングルマザーとしての子育て、自分のバレエ教室の子ども達の育成等で忙しかったから煩雑した状態にやるせない気持ちになることも多かった。
人を安易に信用してしまった私にもちろん責任があるし、こういうこともあるのだという勉強にもなった。
バレエ界に限らず、窮地に陥ったら人をとことん利用しようとする人、騙そうとする人はどこにでもいる。だから、どんな契約でも、どんなに親切心であるように見えても必ず「口頭」での話を信用せず、書類として取り交わすことの重要性を知った出来事であった。
その点、フランスは書類、書類の国で、どんな小さな契約でも書類が必要になる。日本人の私としてはここにも書類が必要なの?と思うようなこともあるが、そのくらい正式な書類を交わすということは大切なことなのだと思う。
だから、未来のバレエダンサー、若いバレエダンサーは古株のバレエの先生達のいうことだけを信用せず、鵜呑みにせず、契約書を取り交わすということをしっかり学ぶべきだと考える。
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