🇫🇷パリジャンは想像できないらしい、フランスの田舎の暮らし

フランスの田舎の中3の高校説明会。

18時10分、大学の帰りに駅から車で娘の中学校内に直接向かった。

「こんにちは!あの…娘の名前…」

「こんばんは!分かりますよ、えーっと、このクラスですよね。」

そう言って、名乗らずとも学校の入り口で娘の名前をクラスの中から探し出してくれる学校側の男性。こちらはこの人物が先生なのか、事務の人なのかも分からないけれど、娘曰く、東洋人一人きりのこの学校では目立つ。

分かりやすい。名簿にチェックをいれてもらって、この日の会場である食堂に向かう。

入って適当な場所を後から来る予定の夫と娘のために探そうとすると、一番前の席にポツンと座る娘の大親友とそのお母さんを見つけた。

隣に座る。

「こんばんは!後から義父と来るからね。」と、娘の親友に伝えると、

「知ってる。さっきメールしたから。」

18時20分、娘と夫が入ってくる。

「こんばんは。」夫が言う。

「ママ、席交換して、隣座りたいから。」娘が言う。

「一番前の席なんですね。」夫が娘の親友のママに言うと、

「私たち小柄だから後ろに行っちゃうと何も見えないのよ。」と笑いながら答えた。

すると、夫はすかさず、

「うちの妻も小さいからちょうどいいです。」と言ってニヤッと笑いながらこちらの反応を伺っている。

私は、そんな夫に肘打ちを入れる。いつものこと。

徐々に人が増えてきた。

フランスの田舎のお母さんたちは体格が良い人が多い。歩き方も割とズカズカ歩く感じ。

お父さんたちは細身の人や恰幅のいい人、様々だが、一見してブランドに身を包んだような人は一人もいない。

男女共にどちらかというとファストファッションと思しき、皆似たような服装。

男性も女性もジーパンにスニーカー、そして短めのブルゾン。スカーフなどの女性らしい小物やアイテムは一切無し。至ってシンプル。化粧っ気もあまりないお母さん達が多い。

フランス人はおしゃれな人が多いというのはパリの人に限った話なのかもしれないと思う。それからニースなどの大地方都市。

やはり、娘が言うように見渡す限り、アジア人は一人もおらず、10人に一人くらいか、それ以下の割合でブラック系フランス人の家族が入ってくるがそれ以外は白系フランス人。

アラブ系は分からない。なぜなら保護者の中にもヒジャブをしている母親は一人もいないから。フランスの片田舎の中学校は不便すぎる場所だから、移民もほとんどいない。

移民であったり、ヒジャブだったりは目立ち過ぎる。だから、「私」という存在も黙っていても目立つ。

※移民は基本的には便利な場所(駅近)に多く住んでいる。そう言うところには公営住宅が多く建っているし、アラブ系の店も多い。

でも、私が住む村の近くや中学校の周辺半径10kmに公営住宅はなく、あるのは畑、羊牧場、馬牧場。

パン屋も各村に基本一箇所。スーパーは2、3の村に対して、一箇所。郵便局はしょっちゅう臨時定休していて、土曜日の午前中やってる代わりに平日丸一日お休みだったりする。

18時半に高校説明会が始まったが、後ろの方の席はまだ空いている。その間に続々と人が入ってくる。

説明するのは連携の地域の高校の男性校長、この中学校の女性校長、そして県の教育委員会の女性。いずれも白系フランス人。

この日の内容は高校進学について。CAPか、職業高校か、普通高校に進学するか、それぞれの特性と違いを説明。

CAPは専門学校で大体の場合は2年目から職業訓練となる。そのため、2年目の職業訓練の場所が見つけられない場合は、大変難しい選択肢でもあるという。

つまり、職業訓練の場所は自分で探さないといけないため、未成年で受け入れてくれる企業があればいいのだが、もしない場合は専門学校を辞めなくてはいけない危険も孕むと言うものだった。

全てが個人主義のフランスは日本のように手取り足取りと言う制度ではない。自主性を重んじるあまり、時にフランス人の未成年者に対しても厳しい現実がある。

1時間半後、会議が終わると帰り際、他の娘の友達のママが話しかけてきた。
ギュイアンと言う南アメリカの方にあるフランス領土(かつての植民地)出身の人でブラック系の背の高い女性。

「ヤッホー!久しぶり!元気だった?」

「ええ、元気。娘から私の連絡先が分からないからメッセージ送るように言われてたのに忙しくてすっかり忘れちゃっててごめんなさい!」

「いいのよ、みんな毎日忙しいんだから!」

と、話している奥の方で目線を感じた。

長い黒髪の若そうなお母さんがこっちを見て笑顔で近づいてくる。

「誰?こんな若い知り合いいない…私じゃないのかな?」と思って後ろを振り返るも誰もいない。

この辺の人には珍しく品の良いロングスカートと長めのコートを羽織っている。この辺の地元の人ではない。

そして、思い出した。10月に引っ越してきたばかりのポルトガル系の家族。最近、娘と仲がいいのだった。

「こんばんは。ローラの母です。」

「ああ!こんばんは。」私が名乗らずともこちらが誰だか、わかってる様子だった。

「明日、娘が車乗せてもらえるって言ってたんだけど、大丈夫ですか?」

「もちろんです!いつも他の友達も一緒だから。」私が答える。

「助かります!私は車ないから。しかも学校帰りの市バスが来ない時もあって…この前も1時間もバスが来なかったらしいので。」

そこで、うちの夫が口を挟む。

「そうなんですよ、うちの娘(正確には私の長女だが、こう言う時に夫は義理の娘とは言わない)が、バス停でバスを待っている時もアプリでチェックしていて後2分、後1分となった後、表示が消えるのにバスは来ないで、また100分後に切り替わってしまうと、しょっちゅう文句を言っていたので。」

「全くその通りなんです!ローラも待っても来ない!ってよく言っています。だから、本当に助かります!」

私が答える。

「私は基本的に空いてるので、全然遠慮しないで下さいね。娘を迎えに行くので、後はタクシーのように降ろすだけだから。ローラちゃんの家の帰り道に通り過ぎる村だから。」

フランスの田舎は助け合いが必要。

交通機関はあっても当てにならない。お互いがコミュニケーションを取って助け合う。ヌヌを雇うような家もない。

パリには毎日でもどうにか電車で行ける距離だけど、パリジャンの生活スタイルとは全く異なる。

上記のこの話には大学の教授も食いついてきて、私の卒業論文のテーマとなった。

本当はバレエのコンクールの事を卒業論文で書きたかったけど、速攻却下。

それで困った挙句、苦肉の策で、

「じゃあ、私が住む村についてはどうですか?」

「あなた、どこに住んでるの?」

と言って、この話をしてみたら、

「Yoshiko!!!素晴らしいわ!村には昔、多目的ホールと言うのがあって、それが男女の出会いの場として使われていたはずなのよ!それを探してみたらどう?」

私、「ああ、多目的ホール…現存しています…。」

大学教授は基本的にパリジャン。
パリジャンは田舎は住む場所じゃないと思っている人たちも多いし、この大学の教授はすでにフランス人の昔ながらの助け合いのコミュニティは存在しないと思っているらしかった。

夫の甥がパリの大学院生だが、やっぱり大学の授業の一環で実地調査をすると言うのがあった時に、教授が、

「できるだけボンリュー(パリじゃない田舎)に行って来い、そして、人々の暮らしがどんなものか知るんだ。」

と言われたから、

「あのー、僕はパリじゃない場所に住んでるのですが…」

と言ったところ、

「おお!それはかわいそうだな。」

とブルブルっと身震いしながら言われたらしい。

それ以外にも他の人の話では、幼稚園の教育実習に行った人が、幼稚園児がアルファベットを上手く書けなくて、癇癪起こしている様子を見て、

「まだ小さいんだから、書けなくても大丈夫だよ。」と言ったところ、

「ちゃんと書けないと、パパがボンリュー(田舎/パリの郊外)に僕を連れて行くって言うの!」と泣き出したらしい。

「…。」

ボンリュー=フランスの田舎、つまり私が住んでるような所はパリジャンからしたら想像もできないような僻地らしいと言うことが改めて分かってきた。

パリとそれ以外は全く違う。

パリジャンからしたら羊と畑しかない場所は住む場所ではないらしい。

通りでパリのお店で会員登録する際に、郵便番号言うと苦笑いされるわけだ…と今更ながら思った。

でも、

そんな田舎暮らし❤️

村人の人懐っこさも、不便さも(たまに交通機関ストライキ過ぎて、おい!ってなるけど。)、人情深いところも、

私は大好きです。

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