🩰フランスのバレエ、日本の能。国が守った芸事。世阿弥の説いた骨肉皮から学ぶ事。

やっと今週大学の全ての提出課題を終わらせた。後期の授業は出席できるものは全部出て課題も提出したからあとは結果待ち。前期を一つも受けられなかったから、来年も大学最終学年だけれど、とにかく学びの多かった半年だった。

最終課題のテキストに出てきた世阿弥…。ここはフランス…!

また、日本の歴史、文化!!!

日本人だけど、世阿弥に関しても本当に無知すぎる私。。。

(きっと一般の日本人からしたら一般常識なんだろうけれど、ちゃんと日本の歴史を奥深く探究してこなかった私は何も知らなかった。)

このフランスの大学の授業で習う日本の文化の数々…

舞踏の土方巽、大野一雄、田中泯、カルロッタ池田…

能の世阿弥…

他にも空手の達人が出てきたり、合気道が出てきたり…

日本の文化が至る所に散りばめられてるフランスの舞踊の歴史。

私は常識がないから恥ずかしながら世阿弥の名前しか知らなかった。

だから、自分の戒めのためにも書き記しておこうと思った。

世阿弥。

14世紀、室町幕府時代に活躍した能の役者で観阿弥の長男で南北朝時代の1363年に生まれた。

風姿花伝を次世代のために書き残し、精力的に能を広めるために活動した人物。

」と言う概念を人の一生に置き換え、

若さが創り出す「花」は、一時的な美しさ、

月日を経て失せないものが、「まことの花」だと説いた。

私が読んでいたフランス語のテキストに出てきたのは彼が書き残した「至花道」の一つ。能を舞う役者としての在り方を記したもの。

その中の核となることば。

骨肉皮。

この時代に書かれたものとは思えないくらい現代に通用する優れた意識だと思う。

は心。

は内面から湧き出る精神力。

は見た目の美しさ、技術力。

この三つが揃った境地に立つのが難しい。

しかし現代(※14世紀現在の!)の若者は「皮」ばかり意識をして、骨、肉を磨くことを疎かにしがちである。

と言うもの。

今から600年以上も前の日本人がすでに持っていた概念。

けれど、

21世紀の日本人もその「皮」ばかりに目を向けてしまいがちであると思う。

まさに今のバレエ界においても同じ事が言えるのではないかと思う。(他の芸事に関しては分からない。)

人の一生は短く、深く物事を考えらるような年齢になった時にはすでに後悔しても戻ることはできない年齢になってる。

表面的な自分の都合のいいことだけを取り入れ続けて苦言に耳を貸さず毎日を過ごしていて芸事を行なっていると、骨肉皮が三位一体となって自分の舞として戻ってくることはない。

どれか一つが欠けてしまってもその舞いは「まことの花」にはなり得ない。

彼の努力もあって、能はその後、室町幕府の8代将軍足利義満や安土桃山時代に関白となった豊臣秀吉などの権力者に守られ、武家社会(貴族社会ではないところが興味深い)で大きく発展。

その後、江戸時代(1603-1868)に二代目将軍徳川秀忠の元、式楽として庇護され、三代将軍・家光、四代将軍・家綱の時代には官僚の統制下に置かれた。

つまり、

能の役者は給与が与えられ、武士と同等の身分を得た

武士と同等の身分!その身分の高さに個人的に驚いた!

そして技や芸を磨くことを強く求められたり、上演演目の管理が厳しかったりと、政治が大きく芸事に入ってきたという側面もあるけれど、

能役者の地位と生活基盤が整えられた。

つまり、ルイ14世の統治下、17世紀にバレエが国によって守られて今も改善されながらオペラ座バレエダンサーの生活の基盤ができているのと同じように、日本も同じく17世紀には能が国の舞として守られ、役者達の生活基盤が整えられた。

知らなかった…

無知。。。また。

日本の伝統芸能である能や狂言、一方フランスのバレエ。

それぞれ国が関与し、その当時の有力者が守ってきた文化。

だから、芸術家だから稼げなくていい稼げなくて当たり前と言う考え方は当時の有権者達にはなくて、国としてサポートしていこうとするシステムが整っていた

江戸時代の日本すごっ!

2025年の今より考え方が芸術関しては進んでいたのかもしれない…。

その後、フランスは国でのサポートをより強化し、バレエのみならず、コンテンポラリーなど他のダンスも受け入れるようにシステムを改良。

ダンス講師、バレエダンサー共に政府認定国家資格が得られるように制度を敷き、オペラ座バレエ学校の生徒には普通高校卒業資格のテスト(baccalauréat généralを受けられる資格を与えられるように制度を変えている。

しかも、そのBacの成功率、近年100%!

⭐️Scolarité de l’Ecole de danse de l’Opéra National de Paris 参照

下手なフランスの公立高校行くより、よっぽどオペラ座バレエ学校の生徒の方が座学も勉強しているのがこの結果から分かる。

フランスで日本の歴史を学ぶ日々。

大学の学部に行き始めて半年間の学びは想像以上に大きくて、自分が持っていなかった、知らなかった知識や概念にぶち当たることが多い。

9月からもまた大学最終学年をやって来年、卒業単位を取得する予定。

学ぶ事で知識が得られ、様々な未知の分野の事を知れる。

学びを止めてしまって目先のことだけに捉われないよう、自分の知らないことを学べる喜び、人との出会いに感謝しながら学べる機会を持てることの意義を意識して前に進まないと、と心を新たにさせられた世阿弥の言葉でした。

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