日本のバレエ指導の現状
- バレエの先生はどうやったらなれる?
- バレエの先生として成功するには?
- 今の日本のバレエ界の問題点
1、バレエの先生になるには?
資格等は要らないので誰でもなれます。
日本では正式なバレエ教師としての国家資格がないからデュプロマ(資格)を持ってなくてもバレエ先生になれる。現在、日本でもRADバレエ講師資格やペルミ・ワガノワ検定などの資格がありますが、そのような資格がなくても実績をあげている先生達はたくさんいらっしゃいます。
今はまだ私も含め、我流の教え方が多い日本バレエの現状。
例えば、極端な話ですが、バレエを「バレー(ボール)」と混同してるような全くバレエを知らない人でも「今日から自分はバレエの先生です!クラシックバレエを教えます!」と言う事は可能です。
⇨大人から趣味で始めて超短期のバレエ講習会で何らかのバレエ講師認定証なるものを数日間で取得して、それを看板に掲げて教室を開いている先生も少なからずいます。
2、バレエの先生として成功するには?
前提として今からバレエの先生になる事は可能だけど、日本国内至る所にバレエ教室があり飽和状態なのに少子化という現実を考慮に入れる必要あり。
バレエの先生として生活できるレベルの収入を得たいならバレエ教室を作る場所選びがとても重要です。
それぞれの教室レベルも世界水準で上がってきているので新規で参入した場合、生徒を獲得できるかはバレエ教室を始める立地、本人の魅力、ダンサーや指導者としての実績・実力がないと難しい。
もし、生徒さんが数十人いる既存のバレエ教室を引き継ぐ事ができたとしたらラッキー!後は自分の実力次第です。
工夫次第!資金力ゼロから始めるバレエの先生
(私自身、資金力0からのスタートでした。)
⇨生徒が集まったらいかに素質のある生徒をうまく、育てられるかが鍵となってくる。
単発の教えの場合(アルバイト)
どこかのスタジオでバレエ講師のアルバイト
- お客さん一人当たりの単価報酬=来た人数✖️契約報酬
- 1時間ないし、1時間半の一回のレッスン(教え)の報酬
私はいずれも経験しましたが、駆け出しで、あちこちで転々と教えしていた時は、お客さん一人につき、1500円と言う契約や、一回の教え毎に3000円〜5000円程度でした。それを毎日いろんな場所に転々としながら、日によっては数箇所も周りながら教えをして収入を得ることもあります。
バレエの先生として収入を得るのはバレリーナ同様に難しいのです。
自分の教室を持つのが夢!初めの一歩、レンタルスタジオでのレッスン(教え)
私が近所の集会所で最初に自分の生徒として教え出した時は地位も名誉もないので1回1000円で教えていました。もちろん営利は出ません。
自分のバレエ教室を開くためには0円からでも工夫次第
借金してバレエ教室を立ち上げることはできますが(私は銀行で融資を受けて稽古場を作りました)、バレエの先生として生き残るためにはバレエ教室のない地区にバレエスタジオを作るとか、生徒達のコンクール結果や海外留学実績が鍵となってきます。
この20年間、バレエの先生達の世界を見てきたバレエコンクールと生き残りをかけた作戦
=昨今の日本でバレエの先生として生計を立てるためにはに多くの場合、生徒のコンクール上位入賞が要。そして、その後の海外留学がセット。
どんなに基本を!無理をせず!と言っても結局、保護者はコンクール入賞者が多い教室に子供を移籍させることが増えてきています。
せっかく大事に育てた生徒でもあっさり移籍してしまう現状がある事を念頭に入れる事が必要。
小学校低学年の子達にバレエが身体に与える影響を真に考える先生とコンクール入賞ありきのバレエ教室では教え方が180度異なってくると思います。
私は個人的に小さいうちから過度なトレーニングをすることは筋肉のつき方によって、低身長を促しかねないので推奨しませんが、現状の日本では後先考えず、「今」のコンクール入賞に全てを賭ける保護者及びバレエの先生が多いように思います。
フランスのバレエと違って(フランスは7歳までは「バレエ」を教えてはいけない)、日本はかなり競争が厳しい。
今の日本各地の有名なバレエ教室は生徒のレベルを上げるために海外から有名な先生を招待して生徒のレベルアップを図るところも多い。
特にYGP JAPAN前は有名なスタジオに審査員の先生達が事前に各バレエ教室で特別レッスンすることが多くあります。
(そうすると、海外のバレエ学校とのコネクションができたりして、生徒の中には自分のスタジオでのレッスンをきっかけにコンクール本選で目に留めてもらって海外のバレエ学校に行けるチャンスを掴みやすい)
そうして、生徒がコンクールで1位を取ったり、有名な海外のバレエ学校のスカラーシップなどを取ると新規生徒が増えやすい。
⇨バレエ教室として好循環
コンクールで上位入賞が多い教室の1〜2割の生徒がその教室の看板であって、それ以外の子達はそんなに見てもらえない可能性もあるので先生の人柄を十分に見ることが大切です。
🩰現代のバレエの先生の工夫 その1 -コンクール運営-
最近、バレエの先生方の中には有名なバレエダンサーと組んでコンクールを運営する方もいます。コンクールは当たれば一回でかなりの額を儲ける事ができますが、参加者が集まらないと赤字が残ることもあります。今の時代はバレエのコンクールに海外留学への切符はつきものなので、いかに良い学校と提携できるか、どんなスカラーシップがあるかが鍵になってきます。
→経営能力があって、人材を集められるのなら収入を得る手段としてはあり。
🩰現代のバレエの先生の工夫 その2 -バレエショップ提携-
広い敷地を持っている先生であれば、バレエショップが教室と直結している場合もあります。ここフランスでもパリのバレエ教室にはバレエショップがお教室の中に入っているところもあって、足りないものや急に必要になったものを買えるのでとても便利です。
→バレエ教室毎にオリジナルグッズを販売すればさらに、生徒たちの一体感が増すので相乗効果とも言えます。
3、今の日本のバレエ界の問題点
問題点その1:我流なのに、ワガノワメソッドの看板を掲げてる先生が多い
ロシア、ワガノワのデュプロマについては詳しくないのでそれがどのくらいで取得できるかは分かりませんが、やはり語学力(ロシア語)が必要で決して簡単ではなく、年数が必要だと思います。
【フランス政府認定バレエ教師国家資格】
フランス政府認定バレエ教師国家資格は取得のために数年かかる上に、フランス語のレベルが相当ないと取れない資格。講習会のために来日したフランス人バレエ講師によるフランスバレエ指導法の短期講習会に参加しただけ、または簡単な資格を取得したのではフランス政府認定バレエ教師国家資格は取れません。
日本でパリ・オペラ座バレエの先生がいらっしゃって短期講習会を開いていますが、その程度の期間でしかも、日本にいながらは取れないはずなのにフランス政府認定バレエ教師国家資格取得をプロフィールに掲載している元ダンサーもいる日本の現状💦
※周りに「フランス政府認定バレエ教師国家資格取得」とプロフィールに書いてる人がいて疑問に思ったら、フランス語レベル、またどのくらいの期間で、どの学校でその資格を取得したか尋ねてみると事実か否かすぐにわかると思います。
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日本で資格なしでの教えは違法ではない。
虚偽プロフィールが問題
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日本でデュプロマなしでバレエを教えるのは違法ではないから、生徒集めのために虚偽のディプロマ取得のプロフィールを書いている人達は本物のデュプロマを努力して海外で取得した人達にとても失礼だし、それが問題です。
問題点その2:古参のバレエの先生が新参者を潰そうとするまたは上手く取り入ろうとする
どこでも芸術の世界は同じだとは思いますが、結構あります。
上手くいきそうな先生を潰そうとしたり、逆にものすごく上手く行ってるところに取り入ろうして、用済みになったら徹底的に潰しにかかるように周囲に悪い噂を広げる先生がちらほらいます。大概そういう先生は男女問わず、年輩の結構名が知れ渡っている先生に多かったりします。
問題点その3:女性が多いはずなのに重役は男性多め
問題点2にも通じるのですが、日本のバレエ界のバレエダンサー達の男女比率は1:9くらいで女性が多いはずなのに、なぜかダンサー引退後の地位が高い人は男性が多いのが現状です。バレエは女性社会と思われがちですが、日本の場合、先生になると男性が優位になってきます。個人、個人のお教室の先生はやはり圧倒的に女性が多いですが、バレエ団とか、各地域のバレエ連盟の代表理事には男性が多い。
女性の先生の方が、生徒集めは上手いのですが、人を「利用する」「資金調達」(良い意味でも悪い意味でも)が上手いのは男性の先生のようです。
バレエの先生として成功するために根拠のない自信と運(チャンス)を逃さない
私よりも上手なダンサーは何百万人もいるけど、私がバレエの先生をやれたのは諦めずに、自分を信じてチャンスを逃さなかったから今がある。
それでも20年以上もの間バレエの先生として地域に根付いた活動ができたのは私のバレエの技術というよりも根拠のない自信と運が味方してくれたことが大きいと思います。また、バレエが好き!という気持ちも大きかった。
私の「踊りの技術」だけ考えたらバレエで食べて行くことは到底できなかった。
運がなければ生徒さんを集める事ができない。キレイ事ではない、実力だけではない世界です。
どんなに素晴らしいダンサーだったとしても、海外でのプロバレリーナとしてのキャリアがあっても、タイミングや運が悪ければ今のこの日本の状況下で生徒さんは集まってくれません。(よほどの知名度があれば別。)