🇯🇵🇫🇷発達障害(ADHD)の特性を持つ子供の子育て、日本とフランス学校生活の違い

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【はじめに】

ADHDをはじめとする発達障害という言葉は今でこそ世間一般的に知られるようになってきたけれど、私の子供の時には聞いた事なかった。

だからこそ、私の親世代の大人が認知するのには少し時間がかかる…

私としてはこれを自分が親として確認することで子供がさらに生きやすくなるのであれば確認しておくべきものだと思っています。

また、フランスではADHDや学習障害などは中学校の卒業認定試験(Brevet)や大学入学のためのBacの試験などの時間延長優遇措置の対象となっています。
子供のADHD(注意欠陥・多動性)

上の子が何か違う特性があるかも・・・と感じた一歳頃の様子。

  • 私の鞄をあさって、紙のポイントカードを食べる
  • 暗くなると黄昏泣きが止まらず、オルゴールをかけると泣き止む
  • 頻繁に抱っこしてもどうしても寝つきが悪くて夜中の3時にドライブ(車の揺れで寝てくれる。)

一般的な年齢よりも早めにできた事

  • 2歳になる頃には二文以上の会話ができていた
  • 2歳になってすぐトイレを覚えた
  • 友達と上手に遊ぶ

小学校に上がって出てきた問題点

  • 片付けができない ⇨ とにかくできない!ビックリするくらい部屋は散らかり放題。周りの人に相談してもそれは小さいから!って言うけれど、その度を越してできない。
  • 忘れ物や無くし物の多さ
  • できる教科とできない教科の差が激しい(興味があるかないか。)
小学3年生の時にWISC-IV検査へ。

IQ的には通常であるものの、凸凹が激しい事が判明。特に5角形のワーキングメモリの値が1番良かった言語理解と20近くの差があった。

5年生の時に結果を診断するため病院に行き、ADHD(うち子の場合は多動性はなく、注意欠陥)の診断でした。

担当医曰く、ワーキングメモリの低い凸凹はADHDの典型的な形なんだそう。

そして、その後の口頭での検査や、日頃困っている事などの質問からADHDがあると言う診断に。授業に集中することが難しかったため、ストラテラという薬を処方してもらい、これを朝晩、日常的に飲むことによって頭のモヤモヤが晴れて集中力が増してくるという。

※薬の副作用として眠気が襲う事があるようです。(人によって異なる)

※この薬はフランスでは2012年から使用が禁止されている薬となっています。

ADHDの特性がある場合、親の育て方が悪い訳ではなく、本人自身も周囲に合わせるなどのコントロールが難しい場合がほとんどです。

気になる事があれば市区町村の教育センターのようなところに相談するとか病院の先生に相談するとか、専門知識を持つ方の意見を早めに仰ぐ事をオススメします。

子供たちが育った環境

インターナショナルスクールについて

場所によるでしょうが、子供達が通っていたインターナショナルスクールは背の順、給食当番、掃除当番、体育座りのシステムがありませんでした。

更に言うと列になってきちんと並ぶと言うこともありません。子供達も非常にノビノビしてる子が多いように見えます。

だから、日本の家庭の場合、体育座りの代わりに胡座をかくことから、

「子供の教育、躾がなされていない」

とみなされることもありました。

・インターナショナルスクールでの子育て経験

公立の小学校に転校して

娘の場合、5年生で移った公立校はとてもいい先生方だったけれど、日本の教育観からしたら当たり前の事ができなくて人に合わせることに苦労していました。

発達障害がある子達の中には「みんなと一緒」が難しい子達も多く存在していて、そういう子達は同調圧力、

皆と同じにならなくちゃいけないのに、自分だけができない。

と言うプレッシャーの中で癇癪が多くなり、自分を見失い、生きづらさを感じて不登校の原因になりかねないと我が子を見ていて思いました。

フランスへの移住と発達障害専門医の反応

娘の病院の担当医に「フランスに行こうと思っているんです。」

と話した時に、担当医の口から出た言葉に驚きました。

「フランスは発達障害のケアが進んでいるからいい選択ですね。」と。

現在フランスで子供達は公立中学校に通っているのですが、それぞれの学校に「ユリス」という特別支援級があり、普通級の子達ともごく普通に過ごしているようです。

🇫🇷フランスに暮らして分かった日仏の中学校教育システムの違い

簡単にフランスの公立中学校と日本の公立中学校の大きな違いを表にしてみました。

公立校の場合🇯🇵日本  🇫🇷フランス
制服ありなし、自由
特別支援級学校によってあるところもあるあり
髪型規定あり、パーマ等禁止なし、髪型様々。多種多様
髪色規定地毛のみ、染色禁止色々。黒、金、赤、茶…
黒人の子などは付け毛に色を
付けている子もいる。
放課後の寄り道不可
近くの商店街で友達と
軽食を食べることも。
装飾品不可ピアス、ネックレス、化粧等可
宿題あり ※長期休み中もありあり ※長期休み中もあり
フランスの学校には宿題がないと言う学校もあるようですが
娘たちの公立中、高校はバカンス毎に宿題がたくさん出ています。)
定期テスト
(中間、期末テスト)
各学年年間5、6回中3のみ、2回
長期休み夏 1ヶ月半(1ヶ月くらいのところも増えている)
冬 2週間
春 2週間
夏 2ヶ月
秋 2週間
クリスマス 2週間
冬 2週間
春 2週間
部活動あり。
色々すぎて書ききれない。
あり。
フェンシング、器械体操、ダンス、
合唱、バンド、卓球、バレーボール、演劇等
部活動での上下関係あり。先輩に敬語一切なし。皆対等(下の名前で呼び合う)
高校受験あり 
最近は偏差値よりも自分がやりたい事を優先して進学先を選ぶ子達も増えてはきているけれど、基本的には偏差値至上主義。
特になし
16歳前の未成年者は学業の義務があるためフランスの中学校をダブらずに卒業する子達は普通高校、職業高校、専門学校の中から自分の学力にあった教育機関を先生たちと相談の上で決定する。
⇨詳しくはこちら
うちの子供の通っていた日本の公立中学校とフランスの公立中学校の比較
教科別の違い
※一般的な公立中の場合
🇯🇵日本  🇫🇷フランス
数学の電卓使用不可使用が基本(デンマークも)
家庭科裁縫、料理など  そもそも教科がない
歴史・地理主に日本の地理・歴史主にフランスの地理・歴史
理科あるある
英語あるある
第二言語ないスペイン語かドイツ語を選ぶところが多い
ラテン語ない選択制 
国語日本語フランス語 
美術あるある
体育あるある
音楽あるある
道徳あるあるけれど、日本のとは違う
避難訓練主に地震、火事、場所によっては津波対策の避難訓練主に不審者(テロ犯)対策の避難訓練
日本とフランスの公立中学校の教科の大きな違い

子供たちが日本の公立校に通った中で「子供達同士によるキャラ設定」と言う枠が日本の公立でうちの上の子が一番苦労していたもののように思えます。

また、上の子の場合ですが、インターから公立に移ってからは性格的にも変化があって私に対して、母親はこうあるべき、卒業式・入学式には母親はこういう服を着なくちゃいけないとか、こういう振る舞いをしないといけないとか、母親として他の人とズレてはいけないという言葉を言うことが多くなり、表情が険しくなる事が増えました。

日本に住んでいた時

  • 家では強気一歩外に出ると、「ママが言って。」「ママが一緒に来て。」など、弱気になる事が多かった。
  • 外出時、トイレに行きたい時には妹を絶対に一緒について来させていた。
  • 日本の公立のテストはワーキングメモリーが弱いからいつも結果が悪かった。

フランスの公立校に通い始めて一年半で変わったこと。

  • レストランのトイレに一人で行けるようになった。(すごく小さな事だけど)
  • 相手に自分の言葉で思いを伝えられるようになった