🩰バレエは職業じゃない?バレエを仕事に…(サラリーマン家庭の場合)

Home » 🩰バレエは職業じゃない?バレエを仕事に…(サラリーマン家庭の場合)
🩰仕事(収入を得る)としてのバレエ。バレエの先生は?

バレエは仕事じゃない。ただの道楽。

by 元バレエ講師の父

父は私がバレエを続ける事に大反対。なぜならそれが職業として成り立っておらず、食べて行くにはものすごく狭く厳しい道だから。

日本の一般の平均的収入のサラリーマンだった父は度々、

「バレエでメシは食えない!勉強の邪魔だ!勉強が疎かになるから辞めてしまえ!」と。

エモーショナル産業に突き進む人生には相当な努力と運が必要だということを理解していた父。親としてレールの上、学歴社会の中で生きる人生へ行かせるのが最大の幸せと思うのは当然。

でも、私は反対に

「絶対にバレエで生活をするんだ。バレエで収入を得るんだ!」

と強く思い続ける日々でした。

日本の場合、バレエで収入を得てご飯を食べていくにはトップクラスのバレリーナになるか、稼げるバレエの先生になるかの二択です。たとえ就職としてバレエ団に入ってもコールドバレエダンサーでは給料は出ないのが当たり前の世界です。

私自身は20歳頃から25年程バレエの教えをやってきましたが、日本経済の悪化に伴い90年代以上に生活レベル、環境が変わってきたのを目の当たりにしてきました。日本のバレエの水準は大幅に上がったものの、バレエダンサーにとっては厳しい現実となってしまいました。
バレエ団所属=就職ではないリアル(給料はない)
🩰バレエの先生というお仕事と収入と現実〜未来のバレリーナ・バレエダンサーに〜 
※詳細はこっちのページ

日本のバレエ団から収入を得るのはごく僅かな人達だけです。

公演毎に出演料は僅かばかり貰えても、ポアント代や体のメンテ代を考えたら思いっきり赤字です。

数年経つと雀の涙程度もらえるところもあります。日本のトップのバレエ団のソリストクラスになるとバイトせずに生活できるところもあります。

でも、基本的に最近国内バレエ団で流行っている若い子向けのユースカンパニーはバレエ教室の延長で支払いが生じてくるでしょうし、1、2年後晴れてバレエ団に入団できても親の経済的な支援やバイトなしでは生活できません。

お金持ちの家の場合はその限りではないですが、私が育ったようなサラリーマン一般家庭を標準とするのであれば今の日本で親が成人した子供を生涯経済的に支え続けるのは厳しいと思います。バレエ人生は短い。引退は思いの外早い時期にやってきて、引退後の人生の方が長いのです。

日本のバレエ教室事情(バレエ教室を開業するには?)
私のO脚がよく分かる写真

昨今、日本はバレエ教室自体が飽和状態。

しかも、少子化で生徒集めが今後さらに厳しくなる一方だから先生達が生徒確保に苦戦してるところも多い。

1、バレエを教えるのに資格はいらない

はっきり言ってまともなバレエの教え(レッスン)をしてない(できない)先生もいる。

2、資金力があれば開業できる

大人から趣味で始めて超短期のバレエ講習会でバレエ講師認定証なるものを取ってそれを看板に掲げて教室を開いている先生も少なからずいる。今の日本ではそれが可能。

でも、今の日本のバレエ界でバレエ講師の資格はなくてもバレエの先生になれます。

この20年間で、バレエの先生達の世界を見てきたから言えること。

 =日本でバレエの先生として生計を立てるためにはに多くの場合、生徒のコンクール上位入賞が要。

フランスのバレエと違って、かなり競争が厳しい。資金力がなければ生き残るためには生徒の質を高めるのが必須。日本各地の有名なバレエ教室は生徒のレベルを上げるために海外から有名な先生を招待して生徒のレベルアップを図るところも多い。

そうして、生徒がコンクールで1位を取ったり、有名な海外のバレエ学校のスカラーシップなどを取ると新規生徒が増えやすい。だから、各バレエ教室は才能ある、条件の良い生徒が多くいて欲しいと思う。

もし、私みたいにO脚の内股の生徒ばかりが入ってきたらゲンナリしてしまうと思う。
全然賞取れないから実績作れないし、美しくないから看板にならない!!

3、バレエスタジオをどこに置く?

今からバレエの先生になるにしても、日本国内至る所にバレエ教室があるし、それぞれの教室レベルも上がってきているのでどれだけ新規生徒を取り込めるかはバレエ教室を始める立地、本人の魅力、名声と実力がないと生徒達はあっさり移籍してしまう現状があります。(今は生徒側が先生を選ぶ時代なので結構シュールです。)

この場合、場所選びは重要です!

自分が生まれ育ったところで…と安易に考えると、地元に根付いた先生の目に触れた時にどうなるか、分かりません(ご想像にお任せします。。。

4、バレエの先生の年収は?

完全にピンキリです。超有名なバレリーナじゃない限り、いきなり高収入は無理でしょう。

単発の教えの場合(アルバイト)

  • お客さん一人当たりの単価報酬=来た人数✖️契約報酬
  • 1時間ないし、1時間半の一回のレッスン(教え)の報酬

私はいずれも経験しましたが、駆け出しで、あちこちで転々と教えしていた時は、お客さん一人につき、1500円と言う契約や、一回の教え毎に3000円〜5000円程度でした。それを毎日いろんな場所に転々としながら、日によっては数箇所も周りながら教えをして収入を得ることもあります。

最初の一歩、レンタルスタジオでのレッスン(教え)

私がバレエ教室というか、近所の集会所で最初に自分の生徒を教え出した時は地位も名誉もないので1回1000円で教えていました。もちろん営利は出ません。

現代のバレエの先生の工夫 その1 〜コンクール運営〜

最近、バレエの先生方の中には有名なバレエダンサーと組んでコンクールを運営する方もいます。コンクールは当たれば一回でかなりの額を儲ける事ができますが、参加者が集まらないと赤字が残ることもあります。今の時代はバレエのコンクールに海外留学への切符はつきものなので、いかに良い学校と提携できるか、どんなスカラーシップがあるかが鍵になってきます。

現代のバレエの先生の工夫 その2 〜バレエショップ提携〜

広い敷地を持っている先生であれば、バレエショップが教室と直結している場合もあります。ここフランスでもパリのバレエ教室にはバレエショップがお教室の中に入っているところもあって、足りないものや急に必要になったものを買えるのでとても便利です。そして、そこでオリジナルグッズを販売すればさらに、生徒たちの一体感が増すので相乗効果とも言えます。

まとめ

開業資金さえあれば簡単にバレエスタジオは作れるし、「私はバレエの先生です。」と名乗れるけれど、いかに素質のある生徒を育てられるかが鍵となってくる。

余談:どうして私がバレエの先生として成功する事ができたのか?

  • 単純にバレエを辞めなかったから。 
    → 周りの才能ある子達は早々に見切りつけて辞めていった。
  • バレエの道にしがみついていたから。 
    → バレエ以外やりたくなかった。
  • そして時代(90年代後半〜2000年代前半)が助けてくれたから。 
    → どうにかなると思ってた。
  • 自分にしかできないレッスンがあると自分を信じていたから。 
    → O脚で苦労してた。
  • 根拠のない自信だけを持って生きてきた ← 結構大事!
当時、バレエダンサーとなった私の周囲の人たちは引退後どうなったでしょう。
(ここをクリック)

先生になった人もいるし、何してるか分からない人も多くいます。

人生は幼少期、青年期だけのものではありません。保護者の方もお子さんの将来と現実をしっかり見定めてください。本当に、本当に特に女性はバレエでご飯が食べていけるのは一握りの人たちだけです。もし、お子さん達の夢がバレエではなかったら、才能があっても続けさせるのは苦行でしかない。もし、お子さん達の精神面が弱かったらいつ潰れてしまうか分からない。(バレエ界の人はきつい人間が多いです。)

バレエ界では当たり前の光景。バレエの常識、一般的な非常識。

人生はその後、何十年も続くのです。今の青春に人生を賭けることは決して悪いことではないけれど、日本経済が悪化の一途を辿っている昨今、将来のことを見据えて行動していかないと取り返しがつかない事になってしまいます。

バレエは本当に自分がやりたい事なのか、親(特に母親)の要望で続けているだけじゃないのか、立ち止まって自分自身を見つめてみることは決して悪いことじゃないと思います。

よっぽどのお金持ちでなければ、経済的なこともしっかり考えていく必要があると思います。(悲しいことに先生達の中には自分の利益のためだけに生徒から搾取してる人たちもたくさんいました。例:個人の教室なのに発表会代が幼稚園生から数十万円など…)子供のために辞め時期を考えるのも親の役目です。

30代、40代、さらにもっと上の年齢になった時に、しっかり生きていく術を持っているか、日本経済の動向を把握しながら行動していかないとご両親、またはお子さん本人が痛い目を見る事になってしまいます。