【目次】
- バレエは趣味?トラウマになっても続ける?
- バレエのお月謝以外にかかる費用
- 海外バレエ留学はゴールじゃない
- 中卒を促す先生の言いなりではなく、高校卒業を目指す
- 自分の支持するメソッド以外を否定する先生
- 強い者が勝つ指導者の世界、精神的に潰される人もいる現実
バレエは趣味?トラウマになっても続ける?
バレエが大好きだから続けたいけど、暴言吐かれて心病む矛盾…
本来のバレエは楽しく、
美しいものです。
バレエを子供に習わせる時、親の立場として2通り考えると思います。
- バレエダンサーを最初から目指す。
- なんとなく趣味でいい。
かく言う私も、趣味ではじめてバレリーナを夢見る子の一人でした…
でも、
高校の交換留学先から帰国してバレエを続けていた私はバレエは好きだけど続けるのが辛いと思っていました。
理由は私に向けての先生による(正確には旦那さん)暴言(パワハラ)が増えたから。(主である先生は明るいし、良い方でした。)
結果的にその後、バレエの先生になって日本のバレエ界で25年弱教えをしてきたけれど、コンクール会場などで鉢合わせることが多くて見かける度に辛かった学生時代の思い出されて苦しかった。
(メンタルやられた過去を持つ人は私だけではないと思うけれど。)
普段は会わないけれど、定期的にあるパ・ド・ドゥクラスや発表会のメインの振付けとかは全部先生の旦那さんだったので20歳前後からは風当たりがどんどん強くなってきて精神的に壊れかけました。
辛い思いを抱えてトラウマになったりバレエが嫌いになるくらいなら、
- 趣味だったとしても、
- プロを目指してたとしても、
- 一緒にお稽古をする仲間がどんなに素敵でも
見切りをつけて新天地に移るのも悪くないかもしれません。
🩰バレエのお月謝以外にかかる費用
本気でバレエダンサーを目指す場合は青天井でお金がかかります。
発表会(5万円〜20万円が相場)などの他に、
コンクールに参加するのなら
- 先生へのお車代、
- 謝礼、
- 食事代、
- 衣装代、
- コンクール参加費
を支払うバレエ教室もあります。
コンクールに出場するための振り写し代などを請求する先生もいらっしゃいます。
こればかりはバレエ教室の規則(暗黙のルール)などがあると思うので一概にこの金額とは言えないものですが、宿泊が伴う遠征など超高額な場合もあります。(YGP Japanやその後のNYなど…)
また、海外バレエ学校のオーディションのために撮影するのであればその振付代や指導代。
だから、本気になればなるほど金銭面での上限が♾️という現実を保護者は知る必要があります。
親の財力がなくてもバレエは習えるけど、親の経済力がないとバレエダンサーは目指せないと考える先生も多いです。
なぜなら
先生たちも
ボランティアではないから。
バレエの先生達は個人事業主であり、先生にも生活があります。
日本では芸術家は「お金に執着するのはみっともない」と言う意見があり、ほとんどの人はバレエダンサーとしての収入が得れないのを承認する一方で、
バレエの先生は
「バレエを仕事として生活」
しています。
プロバレエダンサーとの間に
矛盾が生じますが…
子供を将来バレエダンサーにするために!と言って親(特にお母さん達)が張り合いだしてしまうと家庭内で際限なくなってしまいます。
(お金に余裕がある家なら全く問題ないですが、一般のサラリーマン家庭は注意が必要です。)
🩰海外バレエ留学はゴールじゃない
これからバレエダンサーを夢見る未来の子供たち、その保護者に知ってもらいらい事です。
バレエの先生達の多くは言いたがらないけれど、海外バレエ留学をしたからと言って海外のバレエ団に就職できるわけではありません。
バレエ留学後、成功して世界で活躍するダンサーになる人の裏側で、静かに帰国してバレエの道を諦める数の方が圧倒的に多い事を伝えている先生達はほとんどいない現状。
先生達は生徒を海外のバレエスクールに留学させることだけが目的の人も多い。
だから、罠は…
留学がゴールじゃないということです。
YGPのニューヨーク決戦結果でも分かる通り、日本人の12歳前後の才能ある子達が溢れていて、中学生で海外のバレエ学校に行く子達がどんどん増えている。プリ・ドゥ・ローザンヌでも多くの受賞者がいます。
日本は国として芸術をサポートをするシステムがほぼないので、そのくらいの年齢で奨学金を得て海外に行くと、海外でバレエダンサーになれる可能性も上がるけど現実は一握り。特に女子は。
何十バレエ団にCV(履歴書)を送っても何の連絡もなかったり、断られる事は日常茶飯事で、それで精神的に憔悴する場合も少なくない。
海外バレエ留学の種類
- バレエコンクール等で海外のバレエ学校から奨学金が出ているケース
- 国内バレエコンクール、留学オーディションを得て「海外バレエ学校入学許可」が出て親がお金を出しているケース。
いずれの場合でもその後、
海外で就職できるのは
一握りの子達だけです。
※特に女子。
バレエ学校でどんなに優秀だったとしても、その時の「アジア人」の採用枠の中に入れるかどうかは運次第です。
どんなに技術が優れていてもそのバレエ団にアジア人が多すぎるとディレクターが判断したら、採用を見送ることも当たり前です。身長のバランス、人種のバランスなどがその時々で異なる点も注意が必要です。
⚠️どうしても今のバレエ教室を移籍して、プロのバレエダンサーになるのに近づきたいと子供が願うのであれば、新しいバレエ教室を選ぶ時に、バレエ留学をしている人数を見るのではなく、その後、どれだけの子がプロのバレエダンサーとして海外で活躍しているのかを事前に調べることをお勧めします。
バレエ留学した人数だけを見るのは簡単ですが、お子さんの将来のため保護者の方が先生に聞くなり、丹念に下調べをする必要があると思っています。
年齢が上がった時に留学となると、言語に大きな壁が生じ、コミュニケーションの難しさから採用が見送りになる可能性もある事を考慮する必要があります。
🩰バレエと学業の両立を!中卒ではなく高校卒業を目指して。
闇は深い日本のバレエ界ですが、本来のバレエは情操教育には最適です。
ただ、バレエの先生の中にはバレエと学業の両立はできないから勉強は諦めるように促す先生もいます。
今は90年代の
バブル経済が続く日本では
ありません。
親世代も金銭的に余裕がない人が多い現実があります。
学業を疎かにせず、通信制の高校でも良いから中卒ではなく、高卒の資格を取る事を強く勧めます。(パリ・オペラ座バレエ学校の子達は高校卒業認定試験合格率100%)
そして、老後や引退後のことを考えた時、怪我や精神的に無理になった(追い詰められた)時のために、バレエ以外のことができるように外国語(英語ならTOEIC800点、ヨーロッパの言語ならB2以上)をできるだけ完璧に習得するのもいいと思います。
そうすれば、バレエライフ引退後、学び直しができ、海外の大学に進学することも可能です。
🩰自分の支持するメソッド以外を否定する先生
【独特な個性を持つ先生達】
先生達の中には男女問わず、かなり個性的な人たちが多くいます。
私が子供の頃の1990年代前後には、
- お酒臭い状態でリハーサルに来る先生
- フェッテ100回出来るまで夜中になっても家に帰っちゃダメって言うシステム
- 女子でバレエダンサーになりたい子に夜のお酒を注ぐお仕事を勧める先生
もいらっしゃった。
色々有りだった寛容なバブル経済時代です。
人生経験豊かな人が多くて、特に年配の先生などは話が面白い人が多いのも事実です。
私が心底尊敬しているのは日本のバレエ界のため「個人で億単位の借金」をして本気で貢献された先生です。
一方、中には
「パリ・オペラ座バレエは下手くそだ!ワガノワメソッドが一番!」(生徒談)
と講習会に来た生徒達の前で声高に仰る現役の先生もいらっしゃいます。
どんなメソッドも
その国の誇りです。
もちろん先生それぞれに好みのスタイルがあり、好きな踊り方があります。
でも、真っさらな心の子供達の前で
「この国のバレエはすごいけど、この国のバレエスタイルは下手くそ!」
という指導方法で全国で講習会をやるのは日本の若い子達に良い影響を与えないのではないかと危惧しています。
※日本ではワガノワメソッド、フランスバレエメソッド、ロイヤルメソッドなどのバレエ講師デュプロマ(資格)はバレエ指導に必要ないので多くのバレエの先生が個人スタイルです。
🩰強い者が勝つ指導者の世界、精神的に潰される人もいる現実
上手い子だけ、お金がある家の子だけを見ている先生(男女問わず)も少なからずいます。
残念だけど、お金儲け主義の先生も相当いらっしゃいます。
収入が得づらいバレエ界でお金儲けをして何が悪い!
という意見もあるとは思いますが、生徒や保護者を「金づる」としか見てない先生もおられます。
背後にある財力を見て超表面的な褒め言葉を並べ立てたり、自分が欲しい生徒がいる場合などに生徒や保護者の前で、
「あなたの先生は
ちゃんとしたバレエを教えてない。
バレエの先生として失格
だからうちにおいで」
と直接囁く先生もいます。
いずれにせよ、
それで移籍してバレエの技術が上がって
親子で喜んでいるのであれば何の問題もない
のだけれど、後々、金銭問題等で家庭内で支障が出てきてしまったり、子供・保護者が精神的に壊れてしまったら本末転倒です。
もし、先生がらみで子供たちの精神に支障をきたしてしまったら…
その場合、上にも書いたようにバレエが嫌いになる前にお教室を変えることをお勧めします。
※どうでもいい情報ですが、私はそれでバレエを辞めてた時期があります。
何年間も、
プロを目指すような子は長いと10数年、20年以上の付き合いになるバレエ教室。
(最近はある程度最初のお教室で育ててもらってから2、3年に一度お教室を変える人達も多いけれど…)
親の知らないところで暴言吐かれた子供の
心の傷は一生残ります。
若いと言い返すことが
できません。
本当にそのバレエの先生が我が子の人生に寄り添ってくれているか、お金目当てかを見極めるのは子供が小さければ親の仕事です。
逆に今の自分の先生を見限って、表面的に見てうまい子をたくさん輩出しているバレエ教室に移籍しても、自分の子が今までのバレエ教室のように大切に育ててもらえるとも限りません。
たとえば、今まで楽しくバレエを習いながらバリエーションを踊らせてもらっていたのに、もっと上手になりたいと欲を出して有名バレエ教室移籍後、バリエーションを踊らせてもらえる機会がなくなってしまうことだってあります。
お子さんの目的は何ですか?楽しく踊ること?それともプロの狭き道を進むこと?
自分のお子さんが必要とされているお教室にいるのが一番だし、先生の指導で物足りなさを感じるのであれば直接先生に相談してみるのもアリだと思います。
移籍したら上手くなれる!バレエダンサーに近づける!という安易な考えは辞めた方が良いです。
保護者の方にはしっかり、
先生の人柄を見てほしい。
誠実な先生、
生徒の事を本気で考えて
指導にあたっている先生なのか、
表面的なのか…
自分達の利権のために裏で若い世代のバレエ講師たちを潰しにかかったり、権力や派閥がものを言わせるような状態ではない事を願ってやみません。
今、現役で海外で活躍しているダンサー達が日本のバレエ界に戻り、正しいメソッドを用いて、正しい金銭感覚、時間感覚(これ大事!)を持って未来のダンサーを育てる指導者の立場になった時に現状の日本の狭いバレエ界に新しい風を巻き起こしてくれる事を心の底から願っています。
🩰まとめ
今の日本でバレエ界に身を置くことは決して楽ではないけれど、バレエダンサーは観る人に夢を与えられる希少な仕事でもあります。
AIにはできない仕事の一つでもあります。
舞台の一瞬の空間で観にきた人達を幸せな気持ちにさせてくれる魔法のような世界が存在します。
だから、少しでも日本のバレエダンサーなどの舞台に立つ人たちの生活改善をしていきたいと心から思うんです。
そのためには逆境に負けない強い精神力、諦めない心、語学力の習得、考える力が重要な人生の鍵となってきます。
最後に:バレエの先生の多くが自分の子供にやっていること
先生にお子さんがいる場合は海外でのダンサーの道を視野に入れ、小さい頃から英語教育に力を入れているご家庭が多いです。
そのため、バレエの先生のお子さん達が若くして海外に留学する場合も割と語学の面ですんなりと対応できることが多いように思います。
(海外で就職できるかは別問題。)