🩰ジゼルの時代背景|🇫🇷フランスの葡萄畑のある村での夏休み

今年のバカンスはジゼルの世界観たっぷりなフランスの地中海に近い山間の村で過ごした。

ペザントやブドウの収穫祭の曲が頭から離れなくなるような葡萄畑に囲まれた崖だらけの村。


ちなみにペザントのパ・ド・ドゥはフランス語でpas de deux des jeunes paysans 。

つまり、若い農民のパ・ド・ドゥ。

だから、ジゼルも農民。

周知の通り。

ジゼルは1841年にパリ・オペラ座バレエで初上演されたバレエ作品。

私が夏に滞在した辺は、ジゼルの物語に出てくるような昔からありそうな一軒家はなくて、崖を削って家が建てられているため、家々は密集しているし、Grand Rueと書かれた村のメイン通りも場所によっては車一台がギリギリ通れるような狭い道。

唯一の平坦な土地は全て葡萄畑になっている。

岩が剥き出しの乾いた土地。

風が強いから、木々は低く、斜めになっている。

そんな土地でワインはどうやら作られているらしい。

フランス人のテオフィル・ゴーチェが構想を書いた作品だけど、設定はドイツのどこかの村で、葡萄が取れる場所という事らしい。
ドイツでワインが有名な場所はどこだろう…?

ここはフランスだけど、ジゼルの設定となったドイツの葡萄畑が多くある村もこんな感じじゃないかと想像してみた。

収穫の時期になると、

馬車の荷台に収穫した葡萄を積んで、
足踏みで葡萄を潰して、
ワインの貯蔵庫のようなところで樽に入れて寝かせて、
飲み頃を待つ。

先日行ったワインの貯蔵庫(年間いつも16度に保たれている)で、案内のお姉さんが昔の収穫の道具の説明や収穫後の葡萄の潰し方などを丁寧に1時間ほど説明してくれたのだが、なかなか興味深かった。

中には蝋人形が当時の人たちの服を身に纏って土埃をかぶって農具で作業している様子もあったり、馬が荷を引いている様子の展示物があったり。

私たちのバカンス滞在中には、たまたま近くの一番大きな街(ウネウネの山道を下って、車で40分)で、葡萄の実りを祝うお祭り(収穫祭ではない)をやっていて、今でもこうやって葡萄の収穫の伝統が守られている様子が窺えた。

しかし、上にも書いたようにこの辺の葡萄畑がある周辺は山中で岩だらけで、ジゼルの生活も相当貧しくて不便だったはず…。

特に、車などない時代、どうやって人々はここで生活していたのか…と思うほど。

きっと農民は葡萄畑以外は、(今も見れるけど、)鶏飼って、オリーブ育てて油とって、家庭菜園的な野菜畑やって…
という感じの自足時給生活だったんだろう。

きっと、イノシシや鹿を撃つヒラリオンのような猟師もいたんだろうなと容易に想像がつく不便な場所。

そして、何より、人口200人の村人は、

若干閉鎖的。

私、アジア人だからね…
さらに村人の目線がね…
(因み私がいつも住んでる村は人口900人)

日本の超田舎と同じ。外部者は容易には入れないような壁がある。

そういうのを実体験として経験するとジゼルの物語に対する考え方が変わってくる。

だから、ジゼルはキラキラなピアスでも華やかな衣装でもないっていうのが見えてくる。

収穫祭には一番華やかな服を着ていたのだろうけど、それでもやっぱりキラキラはしていないだろうと思われるし、男性は特に村人を守るためにもヒラリオンのような内向的な性格の人が多かったんじゃないかと思う。

そう考えると、バレエダンサーがこの物語を演じる場合、ヒラリオンの解釈が一番難しいように思う。

なぜなら、バレエダンサー、特に男性ダンサーになるけれど、パ・ド・ドゥなどでは「王子」を演じる事が多いし、実際、この村のような山間の閉鎖的な村で育った人はバレエダンサーとは無縁の人生になる事が多いだろうと想像するから(当然ながら、バレエを学べるような場所はない)。

そして、アルブレヒトが居たようなお城が村にもあるけど、やっぱり山のてっぺん。

だから、舞台上で、マチルダやアルブレヒトが山を下って、村の広場にやってくる設定は正しいのだと改めて確認する事ができた。

ちなみに、村人が集まれるような広場は唯一の平地で、今はテニスコートと駐車場。
現代は、8月半ばにはそこで、ワインのお祭りとペタング大会が開かれるらしい。

それにしても、このジゼルの初演を踊ったイタリア人のカルロッタ・グリジとその彼氏で、彼女が踊るジゼルのためにバリエーションを振付けたフランス人のジュール・ペロー(作品全体の振付はジャン・コラリー)…

その後、恋人であったカルロッタと2人でロシアに渡ったのだが、そのうちにロシア人の生徒、カピトリーヌ・サモフスカヤと結婚してしまったと言う…。

ちなみに、ジゼルの作品を構想したテオフィル・ゴルチェはカルロッタに恋をしていたのだが、その恋は実らず、代わりに彼女の妹と結婚している。

ヨーロッパ文化とは遠い日本のバレエダンサーがその土地の人々の暮らしを知るともっとバレエ作品に対する解釈が深まる。

表面的に分かったつもりでいるバレエダンサーは多いと思うけど、一流のバレエダンサーを目指すなら、トップを目指すなら自分の知識を深めて行く必要が若いバレエダンサーには必要だと感じる。

時代の移り変わりを感じながら、バカンスに行ってもバレエが頭が離れない。

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Yoshiko

元シングルマザー&元クラシックバレエスタジオ運営・代表講師。フランスの大学に行くため一念発起して長期学生ビザ(visa étudiant)を取得して母娘でフランス移住🇫🇷一度目のフランス長期ビザ却下をえて、現在パリ郊外で田舎暮らし中。

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