色んなジレンマが孕むバレエの世界。
日本でプロのバレエダンサーになると、
芸術はお金じゃない。
お金のために踊るんじゃないと言う人が多い。
もちろんお金のためじゃない。自分がバレエを愛するから踊る。
理解はする。
でも、最低限のお給料がないとこの資本主義社会の日本で生活はできない。
お金に頓着するバレエダンサーは醜いと言う人までいる。
でも、生活するには?要するに生活保護を受けながらダンサー生活をする?それともパトロンを一昔のように探す?親頼み?
一方、
バレエの先生となると
話が変わる。
バレエの先生も生活するためにはお金が必要だから、生きるための最低限のお金だけで質素に暮らしている先生もいれば、ハイレベルな暮らしがしたいと思う先生もいる。
ブランド大好きな先生も大勢いらっしゃる。
そんな先生達に対して、バレエはお金じゃない!ブランド品を買うためにバレエの指導をしてるのか?と言える?
バレエの先生はそれが仕事。
バレエを教えて、それで生活している。
そして、バレエダンサーも本来は「職業」であり、収入を得るべきであると私は考えている。
なぜなら、ヨーロッパの多くの国ではバレエダンサーは国家公務員であり、それで収入を得ることができ、定年退職後には年金を得る資格がある立派な「職業」であるから。
日本は周知の通り、多くのダンサーは個人事業主であり、フリーターに近い状態でバレエダンサーとしての活動をしている。
社会人としての会社や国からの保証は一切ない。
だから、本来は、
バレエダンサーやバレエの先生が
それぞれが好きなブランド品を
買うくらい裕福になった方が
未来の子供達にとっても夢がある。
と個人的には思っている。
実際、綺麗に着飾っているバレエダンサーや先生、美しいものに憧れ、ひきよせられるのは人間の性。
スマイルズの「自省論」によると、ミケランジェロが絵の依頼を受け、10分で描いたところその買い手が
「10分で描いた絵でこの金額を取るなんて高すぎる‼️」
と怒った。
しかし、ミケランジェロは、
「この絵は確かに10分で描きました。しかし、その10分には自分の長年の経験が凝縮されているのです。」
と語ったと言う。
まさに、そこに至るまでの経験無くしてミケランジェロの偉大な作品は創作されないわけで、それが10分で描かれた絵であろうとものすごい価値が詰まっている。
だから本来は、プロのバレエダンサーという意識が各々にあれば(これが重要!)、経験を多く積み重ねていく上でお金を払って観に来て頂く価値がある踊りをしていると自負できるはず。
芸術家はお金のために踊っているわけではないとかキレイ事で済ませるのではなく、自分が踊ることにより観客に幸せな時間を提供してる分の当然の対価としてお金として頂くのは決して悪いことではない。
もし、それが悪い事、卑しい事なので有れば海外のバレエダンサーが夏休みに度に日本や他のアジア諸国に来てお金を稼いでいく事自体「悪」「卑しい」と言う定義になるし、海外のバレエの先生達が夏休みや自分が審査員をするコンクールを利用して日本に来てバレエ講習会を開くのも同様に「悪」と言う定義になりかねない。
便宜上は前向きな理由で来日していたとしても、結局、先日パリで行われたレペットのチャリティでの子供のクラシックバレエの参加率を見るとヨーロッパ(フランス)でクラシックバレエの先生のみでやっていくのはかなり大変なのではないかと感じた。
また、何のために、多くの若いバレエダンサーを目指す日本人の子達が海外、特にヨーロッパを目指そうとするのか。
15歳前後の子達が親元離れて海外行くのはなぜ?
憧れのバレエ団で踊るためというのが一番大きいとは思う。
でも、その憧れのバレエ団が無給での活動を要求してきたら?生活は?
ヨーロッパの多くのバレエ団は確実に福利厚生が整っている所が多い。だからこそ好きなことをしながら自力で生活できる。
バレエの道は狭き道。高嶺の花。
先日、私がレッスンを受けた元エトワールのミリアム・ウルド=ブラームの輝かしいオーラや振る舞いだってエトワールだった品格、威厳から生まれるもの。
もし、世界的に有名なバレエダンサー達が私はお金なんて必要ないわ。
お金のために踊ってるんじゃないから!と言うスタンス、お金がないからと言う理由で常にボロボロの服を身に纏っていたらどうだろう。
多分、今のヨーロッパバレエの輝かしさが半減してるのではないかと思う。
パリ・オペラ座バレエの団員達は
何のために
ストライキを行ったというのだろう。
パリ・オペラ座バレエで毎年秋にデフィレが行われる。
そして、ダンサー達が華やかな装いでオペラ・ガルニエに現れる。その模様がとてつもなく豪華で眩しくて私は、着飾ったダンサー達のインスタをうっとり見て回っている。
そう考えるとやっぱりバレエダンサーの「美」は華やかだし、その分の収入があって然るべきだと思う。
日本は私立の大学のように個人のバレエ団が乱立しているからヨーロッパの国立バレエ団のようには運営がいかないし、各々が個人の立場で勝負しなくてはいけない。
バレエ教室もまた然り。
けれど、海外、特にヨーロッパだとどんなに踊れても身長やそれなりのスタイルがないとバレエ団で取ってもらえないところは多いし、語学が話せなければさらに雇ってもらえない確率は上がる。
だから、夢見る若い日本人ダンサー達がバレエ留学を果たしてもそれで人生がうまくいくとは限らない現実がある。
だから、せめて新国立劇場バレエのダンサー達だけでもコールドダンサー時代からポアントが支給され、きちんと整備された福利厚生のもとで生活できれば今の若い世代に夢を持たせてあげる事ができると思う。
少しでも多くのお金に余裕のある人たちが!
日本のバレエファンの人達が!
新国立のバレエダンサーたちの援助をすれば若い才能のある未来のダンサーが希望を持ってバレエ団に就職できるかもしれない。
⭐️米沢唯さん「バレエは一瞬の積み重ね」、ロンドンで主役(日本経済新聞より)
⭐️新国立劇場バレエ、寄付のリンク
小口なら一口3000円からクレジットカードで支援できる!日本人のためのバレエ団を日本人が応援する事で、ダンサーの暮らしが豊かになるかもしれない。
以下、新国立劇場バレエのサイトより引用。
Q寄附金の使途は指定できますか?
Aオペラ公演・舞踊(バレエ・ダンス)公演・演劇公演・オペラ研修所・バレエ研修所・演劇研修所の6つよりご希望の事業へご寄附いただけます。
日本で踊って収入が安定して得られる場所があるならそれは日本人としても誇れる事じゃないかと思う。
逆に海外からも日本のバレエ団に入って踊りたいと言うすごいダンサーがやってくるかもしれない。
お金の価値をどこに置くか、自分が持ってる基準、先生が持ってる基準、個人の基準で全て見え方が変わってくる。
ダンサーには芸術家だからお金儲けはやましいと言う声がある一方、
バレエの先生になった途端にお金儲けは当たり前。経営者だから。
と言う大きな矛盾。
人の生き方、お金の価値観は様々だけど、今の日本における資本主義社会、お金がないと暮らしていけない。キレイごとだけじゃ生きていけない。
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