🩰芸術はお金じゃない。魂だ…バレエダンサーとお金の話。踊れる場所があるだけで幸せ?

色んなジレンマが孕むバレエの世界。

日本でプロのバレエダンサーになると、

芸術はお金じゃない。

お金のために踊るんじゃない、夢の舞台に立つために踊っているんだ!と言うバレエ関係者が多い。

もちろんお金のためじゃない。
自分がバレエを愛するから踊る。

理解はする。
でも職業として考えた時、日本のバレエの世界はおかしいと思う。

バレエで収入を得ることは決して「悪」ではなく、日本と同じ頃にクラシックバレエが入ってきたイギリスでも当たり前のこと。

バレエで給与等を得ることについて今の日本のバレエ界は「恥ずべき事」としがちだが、それまでの人生でバレエに費やした時間、費用を考えたら大人になってプロとなった時に「バレエで稼ぐ」と言うのは当然の概念である。

文部科学省の定義としては下記の通り、

「就職」とは

給料、賃金、利潤、報酬、その他経常的収入を得る仕事に就くことをいい、就職進学者も就職者に含める。自家自営業に就いたものは就職者に含めるが、家事の手伝いや臨時的な仕事に就いたものは就職者とはしない。

就職=収入を得る。

これを書いている私もそれでこの歳までバレエに執着しているが、実家がお金持ちな人も心配はいらない。けれど、私の実家はごく一般のサラリーマン家庭だったから絶対に親は頼ることはできなかった。

「バレエ界の常識、一般社会の非常識」

これは私が信頼するバレエの先生が仰られていた言葉。

今、たくさんの生徒さんを抱えているバレエの先生で、

バレエの舞台は
夢であり、
稼ぐ場所ではない!

と、SNS上で声を上げられている方達は成功者の1人。

男性の先生方で各地に講師として行かれている方も成功者の1人。(もちろんあちこちに行かれるのは世界中を回るビジネスマンのようで大変だけれど、それだけお仕事があるのはすごい事。)

でも、

その下にはバレエダンサーと言う夢が砕け散った人達…数万人、いや、数十万人というものすごい人数を占めている。

YGP Japanなどのコンクールで若い時に入賞をしても、100人が100人とも成功しバレエの道に進めるとは限らない。

根性、運、そして
お金が必要。

最低限のお給料がないと、この資本主義社会の日本で1人の大人、社会人として生活はできない。

けれど、

お金に頓着するバレエダンサーは
醜いと言う人までいる。

でも、生活するには?

要するに生活保護を受けながらダンサー生活をする?それともパトロンをドガの時代のフランスのように探す?

親頼み?

特に女子は厳しい…。

一方、

バレエ講師となると
話が変わる。

バレエの先生も生活するためにはお金が必要だから、生きるための最低限のお金だけで生徒の育成に精力注いで質素に暮らしている先生もいれば、ハイレベルな暮らしがしたいと思う先生もいる。

ブランド大好きなバレエ講師も大勢いらっしゃる。

そんなバレエの先生達に対して、バレエはお金じゃない!ブランド品を買うためにバレエの指導をしてるのか?と言える?

バレエの先生はそれが仕事。
派手な格好でも、見栄え良くするのも個人の自由で、成功者としての証。そして、保護者の中には一定数、バレエの先生の見栄えの良さを求めてくる人たちもいる。

バレエを教えて、
それで生活している。

でも、バレエダンサーは最低限生活できるお金さえも要らない?

踊れれば幸せだから、バレエダンサーは根性論?

バレエダンサーも
「職業」であり、
収入を得るべき

と私は考えている。

日本の場合、男性の目上の先生が女性ダンサーに、お金がないなら夜の仕事へ…と促す事もなくはない(少なくとも私が若い頃はその会話は周りで存在していた。)

日本の場合、何度も書くけれど、需要と供給の問題で女性ダンサーはとにかく大変。

ヨーロッパの多くの国ではバレエダンサーは男女問わず、国家公務員であり、それで収入を得ることができ、定年退職後には年金を得る資格がある立派な「職業」であるから。

才能がない子は、学生の時代に振り落とされる厳しい世界。

日本は周知の通り、バレエダンサーやバレエ講師は誰でもなる事が可能で、多くのダンサーは個人事業主であり、フリーターに近い状態でバレエダンサーとしての活動をしている。

社会人としての会社(バレエ団)や国からの保証は一切ないところがほとんど。

レベルの高いバレエダンサーやその後の人生をバレエの先生として選んだ元ダンサー達がそれぞれが好きなブランド品を買うくらい裕福になった方が、未来のバレエダンサー達にとっても夢がある。

と個人的には思っている。

実際、綺麗に着飾っているバレエダンサーや先生、美しいものに憧れ、引き寄せられるのは人間の性。

そして、

日本のバレエ界での
成功の証。

私が好きな本の一つ、スマイルズの「自省論」によると、ミケランジェロが絵の依頼を受け、10分で描いたところその買い手が

「10分で描いた絵でこの金額を取るなんて高すぎる‼️」

と怒った。

しかし、ミケランジェロは、

この絵は確かに10分で描きました。しかし、その10分には自分の長年の経験が凝縮されているのです。

と語ったと言う。

まさに、そこに至るまでの経験無くしてミケランジェロの偉大な作品は創作されないわけで、それが10分で描かれた絵であろうとものすごい価値が詰まっている。

だから本来は、プロのバレエダンサーという意識が各々のダンサーにあれば(これが重要!)、経験を多く積み重ねていく上でお金を払って観に来て頂く価値がある踊りをしていると自負できるはず

芸術家はお金のために踊っているわけではないとかキレイ事、今までの100年間そうだったから、で済ませるのではなく、自分が踊ることにより観客に幸せな時間を提供してる分の当然の対価としてお金として頂くのは決して悪いことではない。

そして、バレエで稼ぐ事を主張する際に必ずと言っていいほど現れるのが、

舞台に立たせてもらって、踊る機会を与えてもらってるのに、バレエで稼ごうと思うなんて、心が卑しい。

と発言するバレエ関係者。

もし、それが悪い事、卑しい事なので有れば海外のバレエダンサーが夏休みに度に日本や他のアジア諸国に来てお金を稼いでいく事自体「」、「卑しい」と言う定義になるし、海外のバレエの先生達が夏休みや自分が審査員をするコンクールを利用して日本に来てバレエ講習会を開くのも同様に「悪」と言う定義になりかねない。

また、海外でバレエダンサーとして収入を得ている、それを求めて海外のでた日本人ダンサーも卑しいという定義???

海外の有名バレエダンサーも、海外で働く日本人ダンサーも、便宜上は前向きな理由で来日していたとしても、結局、先日パリで行われたレペットのチャリティでの子供のクラシックバレエの参加率を見るとヨーロッパ(フランス)でクラシックバレエの先生のみでやっていくのはかなり大変なのではないかと感じた。

だから、稼げるところへ向かう。

それが、日本。(YGP Japanの審査員の数と比例する)

また、何のために、多くの若いバレエダンサーを目指す日本人の子達が海外、特にヨーロッパを目指そうとするのか。

13、4歳前後の子達が親元離れて海外行くのはなぜ?

憧れのバレエ団で踊るためというのが一番大きいとは思う。

でも、その海外の憧れのバレエ団、例えばロイヤルバレエやボリショイやマリンスキーやパリ・オペラ座が無給での活動を要求してきたら?生活は?

それでも憧れの舞台で踊るため、日本にいる家族に負担(または借金)させてまで自分の夢を叶えるために数十年踊り続けることは可能であろうか?

ヨーロッパの多くのバレエ団は確実に福利厚生が整っている所が多い。だからこそ好きなことをしながら自力で生活できる。

バレエの道は狭き道。高嶺の花。

先日、私がレッスンを受けた元エトワールのミリアム・ウルド=ブラームの輝かしいオーラや振る舞いだってエトワールだった品格、威厳から生まれるもの。

もし、世界的に有名なバレエダンサー達が私はお金なんて必要ないわ。

お金のために踊ってるんじゃないから!と言うスタンス、お金がないからと言う理由で常にボロボロの服を身に纏っていたらどうだろう。

多分、今のヨーロッパバレエの輝かしさが半減してるのではないかと思う。

パリ・オペラ座バレエの団員達は
何のために
ストライキを行ったというのだろう。

パリ・オペラ座バレエ団がしょっちゅう賃金アップのストライキを起こすのは日本のバレエ関係者の一部からしたら悪なのか?

パリ・オペラ座バレエで毎年秋にデフィレが行われる。

そして、バレエダンサー達が華やかな装いでオペラ・ガルニエに現れる。その模様がとてつもなく豪華で眩しくて私は、着飾ったダンサー達のインスタをうっとり見て回っている。

そう考えるとやっぱりバレエダンサーの「美」は華やかだし、その人達が放つオーラを見ていると、その分の収入があって然るべきだと思う。

日本は私立のFラン大学のように個人のバレエ団が乱立しているからヨーロッパの国立バレエ団のようには運営がいかないし、各々が個人の立場で勝負しなくてはいけない。

バレエ教室もまた然り。

けれど、海外、特にヨーロッパだとどんなに踊れても身長やそれなりのスタイルがないとバレエ団で取ってもらえないところは多いし、語学が話せなければさらに雇ってもらえない確率は上がる。

だから、夢見る若い日本人ダンサー達がバレエ留学を果たしてもそれで人生がうまくいくとは限らない現実がある。

だから、せめて新国立劇場バレエのダンサー達だけでもコールドダンサー時代からポアントが支給され、きちんと整備された福利厚生のもとで生活できれば今の若い世代に夢を持たせてあげる事ができると思う。

少しでも多くのお金に余裕のある人たちが

日本のバレエファンの人達が

新国立のバレエダンサーたちの援助をすれば若い才能のある未来のダンサーが希望を持ってバレエ団に就職できるかもしれない。

⭐️米沢唯さん「バレエは一瞬の積み重ね」、ロンドンで主役(日本経済新聞より)

⭐️新国立劇場バレエ、寄付のリンク
小口なら一口3000円からクレジットカードで支援できる!日本人のためのバレエ団を日本人が応援する事で、ダンサーの暮らしが豊かになるかもしれない。
以下、新国立劇場バレエのサイトより引用。
Q寄附金の使途は指定できますか?
Aオペラ公演・舞踊(バレエ・ダンス)公演・演劇公演・オペラ研修所・バレエ研修所・演劇研修所の6つよりご希望の事業へご寄附いただけます。

お金の価値をどこに置くか、自分が持ってる基準、先生が持ってる基準、個人の基準で全て見え方が変わってくる。

ダンサーには芸術家だからお金儲けはやましいと言う声がある一方、

バレエの先生になった途端に、お金儲けは当たり前。経営者だから

「あ、でも女性バレエダンサーとして踊る時は男性の分まで全部払ってね。」

と言う大きな矛盾。

人の生き方、お金の価値観は様々だけど、今の日本における資本主義社会、お金がないと暮らしていけない

キレイごとだけじゃ生きていけない。

バレエダンサーこそ、時代を読む力が必要になってくると思っている。

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Yoshiko

元シングルマザー&元クラシックバレエスタジオ運営・代表講師。フランスの大学に行くため一念発起して長期学生ビザ(visa étudiant)を取得して母娘でフランス移住🇫🇷一度目のフランス長期ビザ却下をえて、現在パリ郊外で田舎暮らし中。

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