🩰バレエの低収入と低学歴に対する考え方と世界基準との乖離
新国立劇場バレエが吉田都芸術監督になってから給与面でだいぶ改善されているという。
素晴らしいことで、これは前向きに捉えられるべき事だが、まだまだ安定した給与、福利厚生面を訴えていく必要があると思う。

2026年現在、大きく改善された点もあるが、一方で昭和の時代から変わらないバレエダンサーの低学歴問題は大きな問題である。
下記は厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」の抜粋記事だが、やはり学歴と給与の関係は比例する。
下記の表でも分かる通り、大卒と高卒では初任給に5万円ほどの差がある。初任給ということは、この後の昇級の度合いも変化していくと思われる。
そしてもう一つ。
若干ではあるが、男女の給与格差も現実として目にすることができる。

★令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給
つまり、一般社会でも僅かではあるが平均初任給が高いのが男性、バレエ界でも稼げるのは男性。
女子は本当に稼げない現状。お金のことはタブー視されてきた。
日本でバレエダンサーになりたい子達、特に女子はこの100年間、黙って奉仕する事を受け入れてきた。
裕福な家庭の子以外は自らアルバイトをして生計を立てている子も少なくない。
また、一部のバレエの先生は高収入を得ている裏側で日本の女性バレエダンサーは低収入でプロとなっても収入を得られないどころかチケットノルマやトウシューズ代等で生活困窮者となっている事実もある。
明るみになる日本のバレエ界の実態に慄く人たちも一定数いる。
ほとんどの女性ダンサーたちは低収入の中、生活している。
そして、稼げると言って、数千万円。しかも男性。
女性は???
どれだけのバレエダンサーが、子供の時から努力に努力、バレエに投資をし続けた結果、数千万円稼げてると言うのだろう。
世界を見渡してもそんなダンサーは一握り。
パリ・オペラ座バレエのエトワールだって、全然億単位じゃない!
サッカー選手や野球選手、テニス選手やゴルフ選手と同等かそれ以上の努力をしているにも関わらず!
でも、全員とはもちろん言えないけど、フランスやその他ヨーロッパ諸国でプロとしてダンサーをやっている人達の多くが親に頼らず、バイトもせず、大好きな事をして自分で稼げている事実がある。
例えば、パリ・オペラ座バレエ団のダンサーがバイトしているという話は聞いたことがない。
むしろ、賃金要求のためのストライキも厭わない。
そこに「何で億単位で稼げないんだ?!!!」「それは芸術だから」と言う意見があるのは仕方がない。
現実を見ることがとても大事で、議論をすることが大切。
こうやってバレエに携わる大人が自論(私もその1人!)をSNSで展開するその後ろで2021年現在の256000人(昭和音楽大学の調べによる)のバレエに関わる人たちが今後どういう状況になるのかを静かに見守っている。(ただ、現状の日本のバレエ受講者人口は年々縮小している。)
果たして日本のバレエ界は変わろうとするのか、否か。
バレエ関係者は永遠にこのままが続けられると思っているのか…。
現状の
「芸術は稼ぐのが目的ではない」
「芸術家を選択したのは自己責任」
を貫き続けるのか…。
はたまた、
「私は稼げてます!他は知らんけど。」
論を展開し続けるのか。
今この時期が転換期だと思う。
多くの人がバレエと学業の関わり、その後に続く職業ダンサーとしての在り方に関心を抱き、変革へと歩み出し、日本のバレエ界も捨てたもんじゃないと思えるか、ああ、やっぱりバレエの人達って偏った考えしか持てないのね…。
と一般の多くの人たちに思われるかは、現在のバレエに携わる仕事に就いている大人の私達の行動による。
また、一定数のバレエの先生達がバレエと学業の両立は不可能とし、子供達から学業の機会を奪っている、低学歴の現実はその後の子供達の人生を考えても見過ごせる問題ではない。
バレエと学業は両立できないとする考え方が現在も多く存在する日本。
だから私は今の子供達に学ぶ力を持ってほしいと訴えるし、考える力を持ってほしいとも訴える。そして、中卒ではなく、せめて高卒資格までは取ってほしいと訴える。
一定数、日本のバレエ界の先生には、バレエダンサーになりたいのに勉強なんてしてる時間あるわけない!と言う人もいる。
ただ、ヨーロッパ諸国の先進国のバレエ教育では義務教育+の高校卒業資格までを取らせているところが非常に多いのは周知の沙汰だと思う。
じゃあ、なぜ日本のバレエ界はそうはできないのか…?
ヨーロッパの多くの国ではバレエで収入を得ることが可能であり、大学入学資格まで取得することが可能だというのに、日本は上記に厚生労働省の表を出した通り、低収入な上に低学歴を強いるのはなぜか。
怪我の問題などにしても昨今、日本のバレエ界で新しいものとして取り上げられる傾向にあるが、フランスの記事によると1980年代には大きく取り上げられているし、年金問題も、教育問題も1960年代から国が考えだしている。
それは国家としてダンスが重要であるという事を認識した政治家がいるからに他ならないけど、残念ながら日本にはダンスの価値に気付いて、年金問題、ただのスポーツ医ではなく、ダンス、特にバレエに特化した医師がいるべきだという事を論じてくれる政治家は今のところまだ存在しない。
この50年とも60年とも思われる日本のバレエ界の世界基準からの遅れ(踊りの技術のことじゃなくて、福利厚生や生活面での保護・学業面など)を多角的に見ながら検討し、見直すべきだと思う。
事実を伝える人達に、
- 「でもそんな事言ったらバレエやりたい人減っちゃうじゃん!」
- 「芸術なんだから生活が苦しくって当たり前じゃん。」
- 「金、金言うなら官僚になれよ!」
って、言うじゃなくて、今の子供達に事実を見せた上で、私たち大人のバレエに携わる人間がどういう考えをもって活動してるかを伝えるべきだと私は考える。
今までの100年と変わらない状態「伝統だから」として今後も未来のダンサーを夢見る子供達に伝承していくのか、地位や名誉がある立派なバレエの先生達、バレエに携わる人達が一丸となって変えていこうと努力を見せるのか。
日本のバレエの歴史は全部個人からの成り立ちでこの100年間それが続いている。
家元制度の元に成立している。
でも、新国立劇場バレエが始めたように、日本で踊って収入が安定して得られる場所があるならそれは日本人としても誇れる事じゃないかと思う。
逆に海外からも日本のバレエ団に入って踊りたいと言うすごいダンサーがやってくるかもしれない。
こんなのも地位も名誉もない田舎暮らしのバレエ講師の戯言に過ぎないけど。
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