実しやかに日本のバレエ業界は稼げないらしいと噂レベルで広まっていた事実が、今こうやってSNSを利用して広まり、日本のバレエ界の人たちが善きにせよ、悪しきにせよ議論を始めたということは悪いことではないと思う。
それは今までタブーとされていた事実で、日本でバレエダンサーになりたい人達は暗黙の了解としてこの100年間、黙って受け入れてきた。
また、一部のバレエの先生は高収入を得ている裏側でバレエダンサーは日本でプロとなっても収入を得られないどころかチケットノルマやトウシューズ代等で生活困窮者となっている事実もある。
こうやって次第に明るみになる日本のバレエ界の実態に慄く人たちも一定数いるのは理解する。
だけど、「私はバレエで稼げてます🩰」と言ったところで、一流の野球選手やサッカー選手のように億単位で稼げるわけではない。
言って、数千万円。しかも男性。
女性は???
どれだけのバレエダンサーが、子供の時から努力に努力、バレエに投資をし続けた結果、数千万円稼げてると言うのだろう。
世界を見渡してもそんなダンサーは一握り。
パリ・オペラ座バレエのエトワールだって、全然億単位じゃない。
サッカー選手や野球選手、テニス選手やゴルフ選手と同等かそれ以上の努力をしているにも関わらず!
でも、全員とはもちろん言えないけど、フランスやその他ヨーロッパ諸国でダンサーをやっている人達の多くが親に頼らず、バイトもせず、大好きな事をして自分で稼げている事実がある。
そこに「何で億単位で稼げないんだ?!!!」「それは芸術だから」と言う意見があるのは仕方がない。
現実を見ることがとても大事で、議論をすることが大切。
こうやってバレエに携わる大人が自論(私もその1人!)をSNSで展開するその後ろで2021年現在の256000人(昭和音楽大学の調べによる)のバレエに関わる人たちが今後どういう状況になるのかを静かに見守っている。(ただ、現状の日本のバレエ受講者人口は年々縮小している。)
果たして日本のバレエ界は変わろうとするのか、否か。
永遠にこのままが続くのか…。
現状の
「芸術は稼ぐのが目的ではない」
「芸術家を選択したのは自己責任」
を貫き続けるのか…。
はたまた、
「私は稼げてます!他は知らんけど。」
論を展開し続けるのか。
今この時期が転換期だと思う。
このSNSを利用した議論を発展させる事によって、多くの人が関心を抱き、変革へと歩み出し、日本のバレエ界も捨てたもんじゃないと思えるか、ああ、やっぱりバレエの人達って偏った考えしか持てないのね…。
と一般の多くの人たちに思われるかは、現在のバレエに携わる仕事に就いている大人の私達の行動による。
また、一定数のバレエの先生達がバレエと学業の両立は不可能とし、子供達から学業の機会を奪っている現実も見過ごせない。
だから私は今の子供達に学ぶ力を持ってほしいと訴えるし、考える力を持ってほしいとも訴える。そして、中卒ではなく、せめて高卒資格までは取ってほしいと訴える。
でも、これも自論。
一定数、日本のバレエ界の先生には、バレエダンサーになりたいのに勉強なんてしてる時間あるわけない!と言う人もいるから。
ただ、ヨーロッパ諸国の先進国のバレエ教育では義務教育+の高校卒業資格までを取らせているところが非常に多いのは周知の沙汰だと思う。
じゃあ、なぜ日本のバレエ界はそうはできないのか…?
怪我の問題などにしても昨今、日本のバレエ界で新しいものとして取り上げられる傾向にあるが、フランスの記事によると1980年代には大きく取り上げられているし、年金問題も、教育問題も1960年代から国が考えだしている。
それは国家としてダンスが重要であるという事を認識した政治家がいるからに他ならないけど、残念ながら日本にはダンスの価値に気付いて、年金問題、ただのスポーツ医ではなく、ダンス、特にバレエに特化した医師がいるべきだという事を論じてくれる政治家は今のところまだ存在しない。(それは日本のバレエの歴史がまだ100年程度と浅いからかもしれない。)
この50年とも60年とも思われる日本のバレエ界の世界基準からの遅れ(踊りの技術のことじゃなくて、福利厚生や生活面での保護・学業面など)を多角的に見ながら検討し、見直すべきだと思う。
事実を伝える人達に、
「でもそんな事言ったらバレエやりたい人減っちゃうじゃん!」
「芸術なんだから生活が苦しくって当たり前じゃん。」
「金、金言うなら官僚になれよ!」
って、言うじゃなくて、今の子供達に事実を見せた上で、私たち大人のバレエに携わる人間がどういう考えをもって活動してるかを伝えるべきだと私は考える。
今までの100年と変わらない状態「伝統だから」として今後も未来のダンサーを夢見る子供達に伝承していくのか、地位や名誉がある立派なバレエの先生達、バレエに携わる人達が一丸となって変えていこうと努力を見せるのか。
日本のバレエの歴史は全部個人からの成り立ちでこの100年間それが続いている世帯。
だから、せめて新国立劇場バレエのダンサー達だけでもコールドダンサー時代からポアントが支給され、きちんと整備された福利厚生のもとで生活できれば今の若い世代に夢を持たせてあげる事ができると思う。
少しでも多くのお金に余裕のある人たちが!
日本のバレエファンの人達が!
新国立のバレエダンサーたちの援助をすれば若い才能のある未来のダンサーが希望を持ってバレエ団に就職できるかもしれない。
新国立劇場バレエ、寄付のリンク
小口なら一口3000円からクレジットカードで支援できる!日本人のためのバレエ団を日本人が応援する事で、ダンサーの暮らしが豊かになるかもしれない。
以下、新国立劇場バレエのサイトより引用。
Q寄附金の使途は指定できますか?
Aオペラ公演・舞踊(バレエ・ダンス)公演・演劇公演・オペラ研修所・バレエ研修所・演劇研修所の6つよりご希望の事業へご寄附いただけます。
日本で踊って収入が安定して得られる場所があるならそれは日本人としても誇れる事じゃないかと思う。
逆に海外からも日本のバレエ団に入って踊りたいと言うすごいダンサーがやってくるかもしれない。
こんなのも地位も名誉もない田舎暮らしの元バレエ講師の戯言に過ぎないけど。
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