私がバレエにどハマりしていたのは90年代のバブル成長期。
日本が豊かで、日本全体に活気があって、バレエを含む芸術関係にも多くの補助金が払われていた。
私が以前所属していたとある地域のバレエ連盟の大御所の先生がお話されていたのは、その当時地域でバレエ公演をやろうとすると数百万円の補助金を区市町村が出してくれてたけど、今は出してもらってもホール代だけ、と。
だから90年代の地域の一バレエ公演にオペラ座のバレエダンサーが来てくださったこともあった‼️
でも、羽振が良かった日本経済はバブルと共に消え去って、その痛みは芸術界でもろに打撃を受ける形となっている昨今。
今はなき、青山円形劇場で踊らせてもらったり、メルパルクホールでの公演に出させてもらったり、大して上手くもない私だったけれど、コンクールの数は少なく、逆に数多くの舞台経験をさせてもらえた時代があった。
そこには観客に寛容さと踊り手の情熱が混じりあっていて今ほど完璧さを子供達に求める時代ではなかった。
現在、5年おきにアンケートが取られる昭和音楽大学の資料によると2021年はその前のアンケートよりもすでにバレエ教室、およびバレエ人口が減っているというデータが出ている。
ちなみに下記の2001年のPOINT記事(英語)によると日本のバレエ教室は 15,000 、 100を超えるコンクールがあると書いてある。(その下にはcorps de ballet members are paid virtually nothing、つまりコールドダンサーには実質的には何も支払われていない。と言う文面が続いている…)
https://pointemagazine.com/japans-perplexing-relationship-with-ballet/#gsc.tab=0
今は2025年なので、もしアンケートをしたら2026年に調査がとられるはず。
私自身も過去にこのアンケートにバレエ教室代表として答えた事があるけれど、アンケート結果には納得がいった。
2021年はコロナ真っ只中。4200のバレエ教室が日本中にある。受講者は256,000人。
これが多いか少ないかは分からない。でも、日本は世界でバレエ人口が一番多いという話も聞いたことがある。
今はコロナ後。
その後、日本の経済はどうなっただろう。
子供を持つ一般の親の思考はバレエやダンスに向かったのか、塾に向かったのか…。
今年も中学受験者数が過去最高だったというニュースを目にした。
https://www.sankei.com/article/20240808-3QKZ723ERVL4ZPVA5J6LZWT7NU
私はバレエが大好きすぎて、もう世界中のバレエ向きの体型の人たちがバレエやれば良いのに!って思う方だけど、実際,現実は子供を持つ母親として考える方が大きい。
本音は子供達に、特に下の子にはバレエをやってほしい。でも、それが彼女のやりたい事でなかったら親として強制することはできない。
いくらバレエが私の人生だったとしても、子供の人生はその子のものとして分ける必要があると思ってる。
でも、もし子供がダンサーの道を選ぶ場合は全面的に応援する必要があると思ってる。
私が教えていた子達のほとんどは趣味でバレエをやっていた子達だった。
本当に一握りの子達だけがバレエダンサーを目指す地域にバレエ教室。
バレエダンサーになる目的で私の教室に入って来た子は1人もいなかった。だから,多くの子達のため、楽しく、子供達のスタイルを良くするためにやれれば良いと思ってやって来た。
でも、彼らがバレエダンサーや舞台俳優を目指すと言った時に、私ができることは現実の大変さを率直に伝える事。
将来の保証は現時点で何もないこと。
全て自分に責任が重くのしかかること。
それでも進みたいなら自分の人生を切り拓きながら進むべきだと思っている。
だってたった一度しかない人生だから。
先日下のyoutubeを見て衝撃を受けた。
ウクライナのダンサー。
芸術監督は日本人。
いつ戦火に見舞われるかもしれない状況で踊り続けるダンサーや戦死したダンサー。
皆、自分の毎日を精一杯生きている。
日本の政治が不安定な今、多くの日本の土地が外国資本に買われている今、今後数十年に間にどう変わっていくかは誰にも分からない。
分かる事はただ一つ。
毎日を真剣に生きる事。
それでも先の事も併せて考える力持ち合わさなくちゃいけないと思う。
自分のためじゃなく今の子供達,未来の子供達のために。
日本は自己責任論が一般的で、
ダンサーなりたいからなったんでしょ?
自分で選んだ道でしょ?
分かっててその職業選んだ本人の責任じゃん!
という言葉が頻繁に謳われるけれど、本当にそれで良いのかな?という疑問を抱く。
なぜなら何度も他の記事で書いているように、ヨーロッパの多くの国では年金制度が整っているところが多い。
特にフランスのことしか知らないけれど、フランス政府認定の国家資格ダンス講師のほか、国家資格のプロフェッショナルダンサーもある。年金制度もある。
日本のバレエ界は成り立ちが1924年に私立のバレエ学校を立ち上げた事に発するからそれ以来ずっと私立が基本。お面状はないものの茶道や花道と同じカテゴリー。
1997年の新国立劇場バレエができたけど、福利厚生面や給料面ではまだ海外には及ばない。
ミュージカルの世界だったら劇団四季がある。
ちゃんとお給料をもらって好きな事に打ち込める。もちろん大きな責任が伴うのはどんな職業でも同じこと。
それがバレエ界にも導入されたら素敵だと思う。
若い世代を潰しあうんじゃなくて、頭の良い、年輩のバレエの先生達が集まって、若いバレエダンサー志望の子達が日本で安定して生活できて、好きなバレエを思い切り踊れるシステムを作ってくれたらと願う。
個人、個人の新しいコンクールを作るんじゃなくて、大きな確固たる枠組みと未来のダンサーの生活が安定するシステム(コールドダンサーから給与制とか年金制度とかの福利厚生)を次の代の人達に渡してほしい。
夢を持って生きろ!というのは簡単。
芸術の世界は厳しい!からそれが当たり前だ!と言うのも簡単。
芸術というものは感性で物を伝えるものだから、お金がなくて当然と今までの自分たちの人生を日本の若い世代に押し付けあうのも簡単。
変わらないものだから。
それが当たり前だから。と。
でも、未来を変える力を持つことは簡単じゃない。
今の大人の私より上の年代はバブル期を経験してきた。でも、今は違う。
日本経済が厳しい時代にダンサーを目指す子達のために大人ができること。
それを考えるのが今のバレエの先生達、バレエに携わる大人の義務だと思う。
子供達が今を思い切り生きるために。
そして、未来の子供達に夢を見させるために。
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