🩰シルヴィ・ギエムやナタリア・マカロワの紡ぐ言葉の奥深さ

バレエやってる人なら誰でも知ってるバレエダンサー、シルヴィ・ギエム。近頃はオーストラリアバレエ団のドンキに携わってるとかで日本でも久しぶりに名前が聞こえてきた。

最近、大学の授業の課題で何か舞台のビデオを探してそれを論ずるというものがあっていろんなビデオを片っ端からあさって見てる中に、シルヴィ・ギエムの最近のインタービューから数十年前のインタビューを見つけてしまって、課題から大、脱線中。。。

最初のビデオはこれまたすごいダンサーのダニエル・シムキンがインタビューしてる動画。

二個目が久米さんがニュースステーションで。歯に絹着せぬストレートな質問が心地いいし、シルヴィ・ギエム本人もすごくまっすぐに答えてる。

3番目のは本当は二本立て。「マドマゼル・ノー」と言われる彼女に迫ったドキュメント。

この最初のビデオは二個目の尖った感じに比べてやっぱり年齢も重ねた文化、現役を退いてるせいかとても柔らかい。

大自然の中で、犬たちやロバに囲まれている生活はかつて舞台人だった人とは想像もつかないけれど、喋る言葉一つ一つに重みがあって35分間ほどのインタビューがあっという間に過ぎてしまう。

この2本目は日本で講演を行った時にインタビューに答えたものらしい。久米さんが「100年に一度の逸材と言われることに対してどうですか?」とかオペラ座を離れる時に「国家的損失」と言われたことに対してどうですか?とか、「結局バレエは天分と努力どちらでしょうか?」というような質問をダイレクトにぶつけている。

それに対して彼女も言葉を濁さず、まっすぐに答えている。

最後のこのビデオや一つ目のビデオもそうだけれど、結局、彼女が一貫して言っているのは人生は短い。我慢する時間はもったいないということ。

だから、嫌なものはノーという。

それに加えて彼女は極端にシャイであったために、人とコミュニケーションを取るのが難しかったという。

ルドルフ・ヌレエフがディレクターだった時に見出されてエトワールになったのは有名な話だけれど、そのヌレエフとも度々意見が合わなかったという。

理由は

お互いシャイ。

お互い人とコミュニケーションを取るのが苦手。

それでも一度踊り出すと年齢差にも関わらず、ピッタリと呼吸があった踊りをしたというピエール・ラコットの証言。

偉大なダンサーの踊りや話をこうやって簡単にYoutubeなどで見る事ができるのはとても幸せな事だと思う。

偉大なダンサーは往々にして賢い人が多い。シルヴィ・ギエム自身も久米さんのインタビューでそう答えてるように、会話に英知があって見る人を引き込む力がある。それはナタリア・マカロワも同じ。彼女の場合は英語が辿々しい感じがありながらもものすごーーーーいユーモアがあってトニー賞授賞式の時の映像などではオーディエンスがずっと笑っている。

英語の発音がどうこうではなく、彼女のの紡ぐ言葉ひとつひとつがその場にいた人の心を掴んだから。

幼少期に彼女の踊りを見て感銘を受けたのを今でも忘れない。衝撃的過ぎて、その後しばらく彼女のビデオを見続けていた。

私の中の最初の大スターが彼女だった。

ロシア(当時はソ連)から1970年に亡命してその後、色々苦労してきたはずの人なのに人々を笑顔にする力を備えてる人。

今でもいろんな大スターがいるけれど、学生運動の頃のダンスやバレエは本当に暑かったように思う。今、大学で1950年から1980年頃のダンスの歴史をやっているのだけれど、その頃の世界の歴史の動きと合わせてバレエの世界を考えると本当に面白い。

ちなみに、1970年は三島由紀夫が市ヶ谷の陸上自衛隊東部方面総監部で割腹自殺をした年。

舞踏家の土方巽を調べていたらそこでも、三島由紀夫が亡くなる前年1969年に東大全共闘の学生1000人と討論(言葉による決闘)した際に論客と呼ばれた芥正彦と土方巽とは舞台を共にしていたという事実に行き着いた。

土方巽は三島由紀夫と交流があり、芥正彦とも交流があったと言う事実が、フランスの大学の先生が言う歴史と言うものは人と人が繋がっていると言うところに行き着いて面白い。

結局、バレエやダンスの歴史は世界の歴史(日本の歴史)とは切っても切り離せない。

歴史を学ばず、踊りの解釈も深くする事なく、ただ表面的なものを漁っているだけの踊りは見ていて何かが乏しいなと感じる。

そうならないためにも日本の若い子たちにはちゃんと勉強して追求することを学んでほしいと思う。

それにしても、シルヴィ・ギエムがバーが退屈で好きじゃなかっただなんて…

ベッシー校長のもとで「2羽の鳩」を舞台でやる機会がなかったらこの偉大なバレエダンサーにはなってなかったのかもしれない…と思うと、人生って何がきっかけか分からないなと思う。

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