🩰🇫🇷日本の舞踏や文化がフランスバレエやダンスに与えた大きな影響

舞踏=Buto。すでにフランス語になってるくらい浸透していた。モーリス・ベジャールやシルビ・ギエムが日本好きと言われていたのは知っていたけれど、19世紀〜20世紀に渡って、フランス文化全体に「ジャポニズム」として大きな影響を与えていた。

絵画の世界ではヴァン・ゴッホが弟のテオと一緒に浮世絵(特に歌川広重の作品)を収集していたとか、モネやルノアールのパトロンがジャポニズムに傾倒していたとかは有名で知っていたけれど、「舞踏」に関しては全く持って不勉強だった。

さらに付け加えるなら、フランスの大学で学び始めるまで、恥ずかしながら日本の舞踏についてさほど興味を持ったことがなかった。

でも、授業を受け始めて数回ですでに何十回も出てくるButo(舞踏)と言う言葉。何なら「Aikido」(合気道)も西洋のダンスにつながりが…

そして、Butoと言う言葉を使う度に、教授が私の方を見てくるんだけど、当の日本人の私、舞踏について何一つ知らない…。

日本人として誇らしいはずだけど、無知過ぎて何も返せない…。

それで、これじゃいけないと思って先週から少しずつ調べはじてたけれど、流石に1週間やそこらじゃ網羅できるわけもなく…土方巽(1928-1986)や大野一雄(1906-2010)をはじめとする舞踏家達がフランスのダンス界に与えた影響にはじまって、イサム・ノグチ(日米のハーフの彫刻、インテリアデザイナー、舞台芸術家1904-1988)とモダンダンスの開拓者と言われるマーサ・グラハム(1894-1991)の関係など次から次に出てくる日本の影響で頭がパンクしそう。

フランスでフランスのバレエやフランスの踊りの歴史を学ぶためにやってきたのに、結局は日本の「舞踏」や「日本文化」について知らないと何も学べない自分に気付く。

今の日本のバレエ界はヨーロッパで発展したクラシックバレエに目が行きがちだけれど、実際のところのヨーロッパのダンスというかバレエ界は常に進化し続けていて日本人が思う古典クラシックバレエで終わってない。

モーリス・ベジャールもそうだけど、ウィリアム・フォーサイスやジャン・クリストフ・マイヨーやその他のクラシックバレエの枠を破壊していこうとする振付家によるダンス、コンテンポラリーが広がっている。

「クラシックバレエ」にこだわりが強いのは、ロシアとアジア、そしてアメリカの一部。イギリスも古典バレエを踊れるところが他のヨーロッパ日本人国々よりも多い印象だけど、やっぱり新作のコンテ作品が次から次に踊られている。

だから、古典が踊れるクラシックバレエダンサーになりたい!と思った時にヨーロッパではどんどん枠が狭まっている。(もちろんなくなっている訳ではない。)

バレエメソッドとして、ワガノワメソッドがすばらしいとか、R .A.Dが良いとか、そう言う論争はひとまず置いといて、日本のバレエ界の大人たちが将来的に古典が多く踊れるクラシックバレエダンサーになる事を望んだ今の子供達に世界の現状を伝える必要があるんじゃないかな?と思う。

ダンスの形もここフランスでは様々。

日本で私が幼い頃から植え付けられていた感覚だと、どんな踊りも基本はクラシックバレエだからバレエの基礎をしっかり身に付けるべきという教えだったけど、イサドラ・ダンカン(アメリカ人 1877-1927)をはじめ、バレエという「枠」にはめられたものからの逸脱を望んだダンサーが多く受け入れられてきた。

大学の授業を受けているとマリー・ヴィグマン(ドイツ人 1886-1973)の名前がめちゃくちゃ頻繁に出てくる。ドイツ表現主義舞踊の創始者で、日本の暗黒舞踏が彼女からの影響を受けているとういう歴史につながる(土方巽自身が直接学んだわけではない)。彼女の踊った「魔女」という作品を先日行われた大学のアトリエで踊った子がいたけれど、衝撃だった…

2分ちょっとある前半はずっと、体育ずわりで上半身だけが動く。その後にあぐらのような、ちょっと足を開いたような状態になるけれど、立つことはない。

目力の強さ、動かした腕の力強さに目が離せなかった…。

日本でクラシックバレエしかやってきてない私にとっては衝撃で、これの解釈を求められた時に全くと言って良いほど言葉が出なかった。

ハッキリ言って、いい歳して何の解釈もできないなんて情けなかった。

同時に自分の持っていたダンスの概念が音を立てて崩れ去っていくのがわかる。

この歳で新しい物事を吸収することは決して楽ではないけれど、新しい概念を入れることで日本の今のバレエ界に新しい風を入れて、少しでも生活困窮するダンサーたちに役立つことができたら良いなと思う。

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30年くらい前にシルヴィ・ギエム(メディア嫌いで有名)が日本で白鳥を踊った時に、珍しくインタビューに白鳥の衣装のままで答えていたのがテレビで流れていたのが今でも心に残ってる。

「踊りの中に英知(※)があって、数十分前まで白鳥だったのだから、人間に戻るのが難しいわ。」

と。

※深く物事の道理に通じる才知、哲学で物事の新実在の理性的、悟性的認識。またはそれを獲得しうる力。ソフィア。

彼女の踊りは技術的に素晴らしいだけでなく、そこに哲学があるから人は魅了されるんだと中学生だった私は思った。でも、こういう事が頭では分かっていたものの当時は目の前にある自分の技術のなさや目の前の現実の日本のバレエの方向性から、その後もどうしてもバレエの表面的な基礎、技術にとらわれがちになってしまいがちだった。

今ここで学び始めて思うことは、四角い箱の中の概念から飛び出さないと、今の世界の、特にヨーロッパの「ダンス」の在り方に考えが追いつかない。

自分や自分の生徒は日本国内、アジア圏、ロシア(アメリカはまた特殊だなぁと思っています。)で「クラシックバレエ」を踊るから関係ないと言う方は置いといて、本気でヨーロッパで収入が得られるバレエダンサーとして活躍したいのであれば、何か自分の哲学、信念を持つ必要があるんじゃないかと犬に散歩を急かされながら考えた。

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