2022年にフランスに移住した時に日本で3学年違い(フランスでは2学年差)の娘達が入った最初の中学校のクラスは中学一年生から四年生まで同じクラスの移民クラス(UPE2A)。
移民だから、大概のクラスメイトは中東出身のアラブ圏の子達とアフリカ系の黒人の子達。白人、黄色人種0。
中学校の周りは社会住宅(公営住宅)だらけだったから当然と言えば当然。
公営住宅には難民や低賃金所得者が多く住んでいる。
だから、その中学校全体の8割はアラブ系の移民の子達かアフリカからの移民の子達で、中にはフランス生まれの子達もいるけれど、基本的には幼稚園前や幼稚園の頃にフランスに移住してきた子達が多い。
もちろん、小学校や娘達のように中学校で移住してくる子達もいる。
だから、クラスはいつも定員いっぱい。
私の友人の子供は違う地区のUPE2Aに申し込んだけど、息子さんが実際に学校に通え出したのは移住後、9か月後。
だから、当然その間の勉強も遅れてしまう。
また、運良くすぐに入れたとしても中学校でフランスに移住してきた子達の中には内戦のためまともな勉強をできなかった子達も大勢いる。
そうすると学年を一つ下げている子達も少なくない。
娘達が学校で出会ったアフリカ系の移民の子の中には、日本はここ(フランス)から車で2時間くらいだね!と言っていた子もいたと言う。
いろんな子がいる移民が多い地区の学校と違い、2年目から通い出した中学校はほぼ白人。
初年度の中学校とは真逆の環境で子供達も驚いた。学校全体の雰囲気は落ち着いているし、先生達も教育熱心。その上、同級生の中には一学年飛び級した子達まで数人いる学校。
部活も盛んでフェンシング部は遠征にしょっちゅう行ってるし、合唱部や軽音部、ダンス部、器械体操部などは年度末に大規模な発表会があったりする。
※ちなみに学校の発表会開始時間は平日の21時からと言う遅さに加えて2日間!
「予防接種の検診に来たお医者さんもこの学校はいい学校だよね!」と太鼓判を推す中学校。
だから、フランスの中学校と言えども、一括りには「これがフランスの現地公立校!」とは言えない現状を親目線で見てきた。
普通に留年や飛び級があるフランスの学校
子供達はそれ自体を特別な事として見るのではなく、ごく当たり前のように受け入れている。
そういう多種多様な人種がいて、多種多様な環境の中で過ごせたこの2年間はすごく貴重。
お金持ちの子だけじゃなく、貧しい環境、内戦から逃げてきた子達の話、イスラム教の話…
肌の色は違えど、同じ人間で同じ心を持っている。でも、宗教感が違うから世界を見る角度が違う。
1校目の学校に行けた事は子供達の視野を広げる点でものすごくいい経験だった。
自分達が日本人として生まれ、いかに幸せに育ってきたのかを知る機会となった。
仲良くなったのはアフリカの国の子。
内戦が絶えないし、海賊もいる国、ソマリア。
この国は宗教がイスラム教。
だから学校の外に一歩出るとヒジャブをかぶる。(フランスは学校内で宗教色を出すのは一切禁止)
難民として彼女が1歳になる前にノルウェーに渡って、2年前の私たちとほぼ同じ時期にどう言う事情かは知らないけれど、フランスに引っ越してきた。
今まで黒人の友達もイスラム教の友達もいなかった娘たちは自分たちが育ってきた環境とは違うその子の話に驚くことが多々あった。
だけど、同じ年の1人の女子として、人間として、とても仲良くなった。
今は学校が変わってしまって毎日会うことはできないけれど、たまにアイススケートに行ったり、ショッピングセンターに遊びに行ったりする。
ちなみにその子は多言語話者で、ノルウェーで長いこと教育を受けてきたから1番得意な言語はノルウェー語、次に英語(北欧は英語教育が進んでる)、そしてソマリア語が来て、今は彼女の両親の代わりに通訳することが多いからあっという間にフランス語も堪能になった。
色んなバックグラウンドを持つ子がいる多様性のあるフランスの学校。
留年しても社会に出れば皆同じ。
飛び級しても同じ事。
ただ,飛び級するような子は勉学だけでなく、精神的にも大人びている子達だから(先生たち判断で)、会話も同学年では合わないから飛び級している場合が多い。
日本のような統一感は一切ないのが今のフランス。
それを良しとするか、悪とするかは全てその人の価値観だけど、私は母として色んな環境の同学年の子達に出会えたこの2年間は子供たちにとって大きな学びなんじゃないかなぁと思ってるけど、本人達がどう思ってるかは大人になって振り返ってみないと分からないかな。
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