ADHDがなくなった?フランスに移住して2年の変化

娘は診断書付きのADHD。日本で。

実際、ADHDは発達障害だから消えるなんて事はありえない。その子の特性だから。

渡仏前、発達障害専門のかかり医に念のため、英語の診断書書いてもらっていた。

フランス語がだいぶ分かるようになった移住2年後のここ最近、その診断書を持って心理士さんのところに通ってた。

高校の先生から新学期の面談で、日本でのADHDの診断書があるなら大学入試などのテストで優遇措置を受けられるから、フランスでも診断書もらった方がいいと言われて紹介してもらった心理学士さん。

基本的にフランスは心理学士さんに診断してもらう場合は全額実費な事が多いみたいだけど、ここは全額自分で払った後に保険が適応されてほぼ全額返金される。

車で30分強。森を抜けて畑を抜けて…田舎暮らし。

最初の診察の時、日本の病院で書いてもらった診断書を見せてWISC-IVの結果も見せると、

「なるほど〜。」

でも、英語の診断書の中にあったストラテラの文字を見て、

「この薬は知らないあなぁ。」

と。早速その場でネット検索。

結果、日本ではADHDに薬として一般的に使われてるストラテラはフランスでは2012年から使用禁止されていた事が判明。

理由は年少者の危険行動が度々あったから。

とりあえず、フランスで合法な薬をもらうために血液や心臓に問題がないか確認するため心臓検査と血液検査して2週間後に行く事に。(フランスで発達障害の薬をもらう場合は薬自体の効果が強いので結構慎重です。)

大慌てで心臓に検査できる病院と血液検査できるラボラトリーをDoctolibというフランスの病院ネット予約サイトで予約。

満を持して再び、心理学士さんの元を訪れた。

最初に娘だけが入り、10分後、ものすごい困ったような顔で心理学士さんが扉を開けて私を招き入れた。

「お母さん,あなたの手伝いが必要です。」と。

何かあったのかと思って一瞬焦ったけど、落ち着いて話を聞いてみると状況が理解できた。

つまり、こう言う事だった。

フランスの中学、高校では成績もかなり取れていて、友達関係も良好。2年しかいないのにフランス語も流暢で、話も明瞭。

だから

「お母さんが困ってる事はありますか?」と。

とそれで、日本で診断に至った経緯を話し、日本にいた時には皆に合わせるのに苦労してた事、見えないルールに戸惑っていた事、公立の小学校、中学校で成績が取れず苦労した事などを話した。

けど、再び、

「現在フランスで困っていることは何ですか?」と。

確かに…ない…。

フランスに来て一年は言葉も全く分からずバタバタしてたけど、フランス生活3年目にして高校生になった今年、フランス語で苦労してる感もない…(母は苦労してる😰)

私が言葉に詰まっていると、

「この状態だとフランスにおいてはADHDの薬は不必要だし、診断書もいらないと思うんですよ!何かあったら来てくれて良いんですが、来ないのが1番ですね!」

と言われ、帰路についた。

相変わらず、片付けできないし、何かを出したら出しっぱなし、洋服は脱いだ形のまま化石のようなものが落ちまくってるけど、フランスではこの状態だけだったらADHDじゃない。普通…らしい。

だから、診断書なし。

国が変わると発達障がいの基準も変わるらしい。

心理学士さんが最後に付け加えていった事、

「環境が変わればその場に合わせてその子の気質も変わるから、日本の規則がきちんとしている環境よりも、フランスの自由な環境の方が娘さんには合ってたんでしょうね。」

その時に思い出したのは日本の発達障害専門のかかり医にフランスに行くと伝えた時に、

「それは良い選択ですね。発達障害についてはフランスの方が日本の理解よりも進んでるから。」

という言葉。

ADHDやその他の発達障害を持つ誰でも彼でもに当てはまる訳ではないけれど、フランス語力「0」から始まった娘のフランス生活は、良い方向に進んでいるのかもしれないと思える一瞬だった。

移住後3年目にして「自分らしさ」と言うものを見つけ始めているのかもしれない。

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