フランスバレエは伝統がある。
17世紀、太陽王ルイ14世から始まって国立バレエ学校(パリ・オペラ座バレエ学校)ができて今に至る。
それに引き換え、日本のバレエは小学生の子達が学べる国の機関がない。国の機関としては中卒後に入れる新国立劇場バレエの研修所が最近(2001年開設)できたのみ。
だからこそ、日本の個人のクラシックバレエ教室の方がとても充実している。
先生たちも日々努力して生徒の力を伸ばそうとしているから全体的なレベルが世界でもとても高いと思う。
それに引き換え、フランスのクラシックバレエでレベルが高いのはごく一部の私立のバレエ教室、これまたごく一部のコンセルバトワール、やパリ・オペラ座バレエような国立バレエ学校のみ。
それでもオペラ座バレエが世界のトップを走っている理由の一つに、バレエの絶対条件がある。スタイル。身体的条件、感情表現。。。
フランス、特にパリを歩いてると普通に道端歩いている工事現場、ゴミ拾いのおじさんたち、警察官、軍隊、駅員さんなど、まぁ、結構パッと目に入る人の足が綺麗な人率が高い❤️
そして、うちの子たちのお友達でバレエとは縁もゆかりもない子達がしょっちゅう家に遊びに来るけれど、腰の位置の高さ、足のまっすぐさに身惚れてしまう⭐️
日本の子達は、私も含めて、バレエの一番ポジションをまともに取るのが難しい子達もたくさんいる。
20年以上、日本でバレエを教えてきた中で、トータル千人くらいの生徒を見てきて、何も言わずにバレエの一番ポジションが簡単にできたのは片手程の人数。それ以外の子達はお尻が出てしまっていたり、足が捻れた状態で一番ポジションをしていたり、私のように全く開かなかったり…
それを分かった上でレッスンを行うのだけど、マイナスから0、0から1の状態に持っていくのは本当に、本当に難しい。
私のバレエ人生で一番ポジションに入れることの難しさを身をもって痛感しているから、とにかく、生徒たちには一番でお尻出さないように、大臀筋、大腿筋を使わないように説明してきた。
でも、多くのフランス人があっさりできる一番ポジション。
1からプラスαに運ぶのは本当に簡単。(この場合、一番で簡単に立てる状態から先の訓練へ。)
だから、
フランスのバレエは7歳までは「バレエ」の指導はできない。
それまではリトミック的なことに限られる。
同じ人間だけど、持っている条件が違うことで、スタート地点が違う。
そのことを最近すごく考える。
日本人は勤勉だけれど、身体的条件がない子が多いのに対して、フランス人は身体的条件はあるのに日本人のような頑張りは足りない。
っていうか、ない子が多い事、多い事…。
そして、感情面。
日本人の踊りは生真面目で、表面的に踊っている人が多いのに対して、フランスバレエは時に、演目によっては本当の恋人同士のように見える。
そうでないとパリオペラ座バレエを観にくる目の肥えた観客を満足させる踊りはできないのだと思うけど。。。
ストライキ然り、普段から感情表現をものすごく表に出すフランス人…。
とは言え、最近のKバレエや新国のバレエはかなり素敵だと思う。
この二つのバレエ団のディレクターが2箇所ともロイヤルでプリンシパルだった事を考えると表現力も豊かさがあるのは偶然じゃないと思う。
そして、コールドバレエの揃ってる感じはパリ・オペラ座バレエを持ってしても、日本のバレエ団の方が揃ってる気がする。
どっちがすごい、どっちがダメと安易にいうことはできないバレエの世界。
それでもダンサーが、コールドダンサーでも一社会人として生活できるレベルの福利厚生、お給料をもらっているフランスの方がダンサーとしては幸せな気がする。
ただ、フランスの場合、収入を一般的な企業に勤める人くらいもらえるようなバレエダンサーになれるのはほんの一握りの選ばれし者のみ。
他はバレエの道から遠ざかる場合が多い。(個人ダンサーという例外もあるけど、知名度必要。)
大人になって、プロになっても日本で同じような高い技術や表現力を持っているダンサーでさえ、大半のバレエダンサーはいつもバレエ団以外のバイトなどをしなくてはいけない。
引退後の保証が全くない日本のバレエ界がその危うさに気づいて改善する術を見つけられないか…
まだまだ知らない事だらけだけれど、ここフランスで日本のバレエ界で頑張っている才能ある若いダンサー達のために何かできないか探っていきたい。
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