🩰バレエ教育環境の実態分析から見る日本のバレエの先生のタイプと闇

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日本には現在、推定4260のバレエ教室がある。(2021年現在)

⭐️日本のバレエ教育環境の実態分析(昭和音楽大学バレエ研究所)

上の昭和音楽大学バレエ研究所の結果を見て面白いと思うのは2011年はバレエ学習者総人口が40万人以上いたのに対し、2016年では35,8万人に減少。

2016年よりもバレエ教室数は2021年現在で400件ほど減少し、バレエ学習者も100,000人ほど減っている。

一方で、バレエ教室数は2016年の方が2011年よりも100件ほど増えている。

私がバレエの先生として教えを始めたのは2006年だから、この調査の期間中日本でバレエに携わってきた。2006年に2人の生徒だけで始めた”バレエサークル”だったけど、最終的には毎年、100人前後の生徒が通うバレエ教室へと変化。
つまり、この調査期間にきっちり当てはまるため、机上の空論ではなく、実体験として記事を書いています。

現在の個人バレエ教室のタイプ

  • 若い実力のあるバレエダンサーが海外から帰国後作る新規バレエ教室
  • 国内でバレエダンサーだった人達がバレエダンサーをやりながら教えをやっていて若くして引退後に、バレエの先生として指導を始める新規バレエ教室
  • 数十年ある老舗バレエ教室
  • 大人バレエでバレエを始め、数週間で取れるバレエ講師の資格取得し、それを看板に掲げているバレエ教室
  • 私のように子供の頃からバレエをやっているけれど、実力も実績もない。でも、バレエ教室を開いた場所、タイミング、運が良くてバレエの先生として続けてこれたバレエ教室

様々なタイプのお教室がある中、やはり子供相手のバレエ教室だとコンクール入賞数が多いバレエ教室の方が生徒が集まりやすい傾向がある。(最近は大人バレエ向けのコンクールも増えているけれど。)

現在、YGP Japanやプリ・ドゥ・ローザンヌなどの国際コンクールに生徒を出場させているお教室の先生の中には海外経験がない方もいらっしゃるけれど、ご自分が努力されて学びを深め、生徒に正しい指導を行い、結果として何人もの生徒の「プロのバレエダンサーとして」の海外進出に成功しているお教室の先生には本当に頭が下がる。

海外でプロになると言うのは精神力も相当強くなくてはならず、それを生徒、親、先生の二人三脚で鍛え上げると言うのは並大抵の努力ではない。

もちろん、単純にバレエコンクールに入賞させているから、海外留学させているから「立派な先生」と言う訳ではないのは明白。

でも、そんな素晴らしい先生方がいらっしゃる一方で

  • お金のことだけしか頭にない先生
  • 生徒たちの人生から学業の機会を奪い取ってしまうバレエの先生
  • 生徒の精神を苦しめるような言動を続ける先生

もいまだに存在する。

上の昭和音楽大学のデータが示す通り、全体の生徒数に対して教室数が飽和しているため、2011年あたりよりも個人のバレエ教室の競争が厳しくなっている。

そうするとどうなるか。

先生達による
生徒の奪い合いが
行われる。

問題点:
古参のバレエの先生が新参者を潰そうとする
→上手く取り入って後から潰す

どこでも芸術の世界は同じだとは思うが、日本のバレエ界も結構ある。

若くて実績のあるバレエの先生にも生徒は集まりやすく、その傾向はコロナ禍以降特に顕著になっているように見える。

実際、2010年前後まで勢いがあった老舗のバレエ教室がその10年後くらい(ちょうどコロナ禍前後)から生徒の囲い込みに苦戦しているところが多い。

上手くいきそうな先生を潰そうとしたり、逆にものすごく上手く行ってるところに取り入ろうして、用済みになったら徹底的に周囲に悪い噂を広げて潰しにかかるような先生がちらほら存在する。(女性とは限らない。)

今までバレエの先生をやってきた中で、こういった悲しい事実を片手じゃ収まりきらないくらい聞いてきたし、自分もそういう目に数回、遭った事がある(たった数回だったていう強運!)。

本当にひどい先生だと女性バレエダンサーになりたい若い子に対して、夜のお酒を注ぐバイトを勧めてきた先生もいた(私にではない)。

権力、コネクションを利用して有る事、無い事を吹聴して自分のテリトリーや収入を守ろうとするのは人間のサガなのかもしれないけれど、多くの子供達を預かっているバレエ指導者にモラルがないのは、バレエの先生という前に「人として」考えてほしいと思うところでもあり、バレエに携わる人間として残念な気持ちにもなる。

できれば、

自分自身で他の手腕を考えて
自らの成功を掴んでほしいと思う。

芸術家を育てる立場」である事を忘れないでほしい。

昭和音楽大学のデータを元に単純計算すると、

1教室あたりに

2011年は88,3人の生徒 (総先生数19,000人)

2016年は77,2人の生徒 (総先生数15,000人)

2021年では66,1人の生徒 (総先生数13,000人)

という計算になる。

これは(自分で計算しておきながら)ものすごく平たい計算すぎる。

実際には生徒数の多い教室と
少ない教室の偏りが
激しくなっている。

と見ている。

私の実体験を含めた感覚だけで物を言うと、2025年現在はバレエダンサーを目指すというか、バレエコンクールで上位を目指す(生徒に目指させる)教室は以前によりも圧倒的に増えているし、そういうところだと生徒が集まりやすい傾向があるように見える。

それはバレエコンクールの数もさることながら、例えばYGP Japanの参加人数及び参加バレエ教室数から見ても明らかである。

バレエ学習者総人口が減っているのに、YGP Japanの参加者は昨年、過去最高を記録した。

また、今年からは尼崎から東京(立川や渋谷)場所を変え、コンクールが開催される予定で、その参加年齢も6歳から8歳の「YGP Mini Project」が加わり、引き下げられる。

日本のバレエ関係者からしたら当たり前の低年齢かもしれないが海外、特にヨーロッパからしたら正直、考えにくい。

何度も他の記事に書いているように

フランスの場合、そもそも
7歳以下の子供にバレエを教えてはいけない。

政府認定ダンス講師国家資格保持者がそれ以前の年齢の子達に何を教えるかというと、リトミック的なもの。

娘たちをフランスでバレエ教室に通わせてた1人の親の感想で言うと、バレエは誰でも習えるけれど、ほんの一握りのスタイルや素質がある子だけがトップにいけるし、発表会で見る限り低年齢の子達はもはやバレエではなかった。

基本(もちろん例外もある)、フランスの各地域のバレエ教室ではプロになるのは難しく、大手のバレエ教室もパリ・オペラ座バレエ学校に生徒を入学させるというのが目標のところが少なくない。

そして、条件がいい子達がドロテ・ジルベールのように遠方から来て(トゥールーズというフランスの南部から)パリ・オペラ座バレエ学校に入学できる(それでも2回目の年で合格)。

※ちなみに彼女のご両親は一人娘が心配で
家族一緒にパリに移住したそう。

また、日本のYGP Japanの審査員数が17人というのも他の国で行われるYAGPのセミファイナルと比較しても圧倒的に多い。

次に審査員が多いのがポルトガル、フランス、イタリアの12、13人だけれどその他の国での地区予選はいずれも5人前後の審査員数。

スカラーシップもほとんどの国でSummerなどの短期しか出されないのに対し、日本のようにフルスカラーを出してもらっているところは(確認できた国だけだけど、)とても数少ない。(カナダのアルバータがわりといろんなところで年間スカラー出しているけれど。)

🩰バレエへの取組みとして低年齢化の問題点は

  • 年齢不相応の筋肉の発達による低身長問題
  • 保護者にかかる金銭的負担
  • 学業への取組みが疎かになる問題

いずれも、親も子もバレエの先生と話し合った上で理解しているのなら全く問題はないし、赤の他人が口を出すことではないけれど、

🩰低身長の場合、海外でバレエダンサーになることはかなり難しくなる。(可能性は0ではないが、技術があっても確率が下がる)

🩰保護者のその後、長く続く経済的負担を考えると恐ろしいと思う。

また、この個人サイトでの私の最大のテーマである

🩰学業への取り組みが疎かになることでダンサーへの道が閉ざされた時の選択肢が現在の日本の場合、明らかに厳しくなる。

パリ・オペラ座バレエ学校の
大学入学資格取得率は
100%である。

もちろん、その後の人生において自分で事業を立ち上げたり、親の会社を引き継いだりしたら中卒でも話は別だろうけれど、現在の日本社会では足切りとして「必要資格:大卒以上の会社もまだまだ多く存在するし、初任給も高卒と大卒では数万円違う。

バレエに打ち込める時に打ち込むのは
決して悪いことではないし、
集中力を鍛えたり、
好きなことに情熱を燃やすのは
寧ろ素晴らしい。

私自身が打ち込んでやってきたことだからこそ、日本のバレエ学習者が増えて、バレエの良さを知ってくれたら嬉しい。

でも、バレエを続けるためには経済情勢、政治情勢、自分を取り巻く環境等を常に多角的に見る必要があると思う。

次に昭和音大のアンケートが行われるとしたら、2026年。
過去3回のアンケート回収率が35%前後だったらしいので、次回、自分のところにアンケートが来た先生方にはこの統計を集める協力を是非してほしいと思う。(私も2回、ちゃんと書いて返送した。)

⭐️「日本のバレエ教育に関する全国調査」報告書
文化庁委託事業 昭和音楽大学バレエ研究所より)

私が日本のバレエ界に願うことは

  • 未来のバレエダンサーたちから教育の機会を奪わないでほしい
  • 古参のバレエの先生たちが嫉妬、生活苦による若い実力のあるバレエの先生たち潰しをしないでほしい
  • 未来の新国立バレエ団に所属するような「バレエダンサーとしての才能ある」人材が安心して日本でバレエダンサーとして経済的に自立できるような仕組みを整えてほしい

私営の全てのバレエ団に手を差し伸べる事は不可能だし、実際、私立のバレエ団は

現状の海外の国立バレエ団
レベルに達していない
日本のバレエ団の方が多い

ポワントワーク、表現力、身体全体の使い方、スタイルとか…

けれど、少なくとも多くのタレントが集まる新国立のバレエダンサーたちの援助をすれば若い才能のある未来の日本人ダンサーが希望を持ってバレエ団に就職(コールド・ダンサーでも自活できるだけの収入を得る)できるかもしれない。

⭐️新国立劇場バレエ、寄付のリンク

小口なら一口3000円からクレジットカードで支援できる!
1人でも多くの人が寄付することで、日本人のためのバレエ団を日本人が応援する事で、ダンサーの暮らしが豊かになるかもしれない。
以下、新国立劇場バレエのサイトより引用。

Q寄附金の使途は指定できますか?
Aオペラ公演・舞踊(バレエ・ダンス)公演・演劇公演・オペラ研修所・バレエ研修所・演劇研修所の6つよりご希望の事業へご寄附いただけます。

海外では寄付が当たり前のところが多く、パリ・オペラ座バレエ団への寄付欄にも日本の企業や日本人の個人の名前が見受けられます。
だから、より多くの国内バレエファンが好きなバレエ団に寄付することによって、ダンサーの生活の質を向上する手助けになると思って(願って)います。

日本で踊って収入が安定して
得られる場所があるならそれは、
日本人として誇れる事じゃないかと思う

それに、逆に海外からも日本のバレエ団に入って踊りたいと言うすごいダンサーがやってくるかもしれない。

芸術家は稼げなくて当然と言う概念が少しでも減り、悲しい思いをする若い女性バレエダンサーが減るように何かを始めたい。

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