いずれの情報も私の個人的経験に基づくもの、カウンセラーではない一個人の意見なので最新の情報はご自身で調べることを強くお勧めします。
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フランスの公立高校は普通高校、職業高校、そして専門学校としてCAPがあります。
中学校の先生たちは普通高校も職業高校もほぼ同じだよという説明をするけれど、実態は結構違うし、大学などで勉強したい場合は普通高校に行ってないとその後の進学が難しい。
先生たちのモチベーションも違うし(これかなり大きい!)、授業時間&授業日数が圧倒的に全然違います。
これは日本でも進学校と言われるところと、そうでないところと似たような関係かもしれないけれど、日本のように高校生の終盤で巻き返しが効かないのが現在のフランスの進学制度です。
とは言え、
大学卒業したからといって
就職が簡単にできないのが
今のフランス。
新卒の就職率は低く、現在、政府として職業高校やCAPという職業専門校への進学を3分の1程度の中学3年生に促しているようです。
たとえば、美容師、パン屋、車のメカニック、パティシエとかになりたい場合は、普通高校進学ではない職業高校かCAPと言う道を14、15歳の時点で選択します。そうすると、その時点で大学進学の道は大方閉ざされます。
それでも若くして手に職が付くので可能性は無限大です。
普通高校lycée généralの生活
日本のようにクラスはあるけれど、全員朝8時から始まるとは限りません。(それは中学校も同じ)
授業がなければ、9時始まり、10時始まりということも日常茶飯(これも公立中学校と同じ)。終了時間もまちまち。急に先生がいなくなってキャンセルになれば、日本のように自習時間とはならず、その後の授業がなかったら帰宅できてしまう。
学活とか、朝の会とか帰りの会も
ありません。
そして学校にいる間、ずっと授業があるかと言えばそういうわけでもなく、空きコマが発生することも日常(これも公立中学校も同じ)。日本の高校とはだいぶ違うシステム。
給食もクラスで食べるのではなく(そもそも自分の教室がない)、食堂で空いてる時間で食べます。
一般の高1の選択授業は基本的には語学系(たとえばドイツ語やスペイン語、その他特別な言語だとラテン語とかギリシャ語などなど)、その他にエンジニア系の選択が可能なところもありますが、高2になると選択授業を3つ取る必要があり、個人、個人で選択授業が異なるため授業時間も異なってきます。
高校2年時で取る特別選択授業
日本でいうところの理数系に進むか、文系に進むかというところ。
医者になりたい場合は、選択授業として
物理、数学、SVT(生物学)を取るのが一般的。
(もちろん他の選択も可能)
高校によってはセクションヨーロピアン、ダンス、アートなど特色があるセクションがあって(アート系はパリなどの大都市に多い)、セクション演劇(フランス全土一般的な高校に多くある)などもあります。
🩰パリ・オペラ座バレエ学校の子達も普通高校の生徒としてこの選択授業を3教科取っています。
娘の高校は田舎の高校。。。
パリのアンリIV高校のように決してレベルが超高いという雰囲気の高校ではない(移民が多く、高校に迎えにいくと、アフリカ系やアラブ系の子達が多い)。
けれど、毎年、グランゼコールの一つであるパリ政治学院(超優秀な人しか入れない)に1,2人入学しているらしいし、その関係で娘たちのクラスも最近、パリ政治学院に社会科見学に行かせてもらってました。
(そこでは、アパレルブランドPOLOに身を包んだパリの有名どころの高校生達も来ていて、自分たちの服装の違いに驚いたそう。)
ちなみにこのパリ政治学院はパリ・オペラ座バレエ団出身のセバスチャン・ベルトーも卒業しています(詳細の記事は下記)。
ちなみに、この普通高校を娘が選択した理由は、2年生の選択授業で希望する授業が近所の高校(通学時間バス電車乗り継いで1時間半から2時間)ではここしかなかったから。
でも、結果、先生たちはすこぶる親切だし、クラスの雰囲気もとても良いので、彼女はこの高校を選択した事に満足しているけど、なんせ遠い。
(地元の中学校の友達に言わせると、治安が悪い地区っていうので有名な場所だったけど。)
「早退・遅刻」
日本と違うと思うのは出席するのにいつでも学校内に入れるわけではなくて、授業と授業の合間にしか入れない。もし、病院等で遅れてしまった場合は、次の授業の区切りを待たないと校内に入れてもらえないし、病院でここの病院に来ていましたと言う証明書を出してもらった上で親が学校の連絡帳に遅れた理由や相対理由を記入。
もし、日本から高校入学前のお子さんを連れてフランスに住まわれる予定の方でパリ近郊に住む予定なら、パリの西側に住んだ方が選択肢が圧倒的に増える(インターナショナルスクールや日本人学校がある)と思うので、その辺は特に気をつけた方がいい点の一つだと個人的には思っています。
職業高校
目的のある(←これ超重要)職業高校ならとても有意義で、そこから努力してグラン・ゼコールに行かれる方も稀にます。
また、職業高校だけの私立高校などもあって、その後のBTS(2年間の短大みたいなところで高専のような感じ)と合わせて5年間の学びの中で専門職を深める学校もあります。
でも、
はっきり言ってヤバいのは
目的もなく、
普通高校に入れなかったから
仕方なく職業高校に行ってる場合。
普通高校の一般クラスが1クラス34、5人に対して職業高校の販売/営業クラスは1クラス15人程度。
一般的に中学校で普通高校を希望した平均点が11/20以下の子供達が職業高校を選びますが、その中でも「特に販売/営業科」がカオス。
やる気がない子達が多く、授業をすぐに休んでしまう。
電車やバスがストライキの中、普通高校の子達が遅刻してでもどうにかして学校に行こうとするのに対して、目的なく職業高校に入った子達は平気で学校を休んでしまう傾向にあるようです。
実際、そう言う時の出席率は1/5くらい。
また、学年末ともなると成績表が出た後の6月前半はほぼ誰も授業に出席しなくなります。
先生達もモチベーションの低い人が多く、学期中、授業がキャンセルになることが頻繁にあって、数学の授業などは年度始まりから先生が不在で、半年間授業がなかったいう学校もあります。
また、職業訓練も普通高校の1年生が6月の下旬に2週間しかないのに職業高校の1年生は、2月と6月に3週間ずつ計、6週間の職業訓練があります。
いずれの場合も、学校で決められたところに派遣されるのではなく、自分でCV書いて探さなくてはならず、その上、断られる場合も多いので精神的にもきついかもしれません。
もちろん、そこで踏ん張って成績を上げれば普通高校の方に移ることも可能です。
CAP
CAPは基本的に2年間の専門学校で、大人でも外国人でフランスで職に就きたい人なども行くことがあり、目的を持ってなりたい職業がある場合はとても意義のある学校です。
勉強が得意ではなくても自分が進みたい道に信念を持って進んだ結果、自分が納得のいく仕事に就いている人も多くいます!
例としてはパティシエ、馬関係の仕事、幼稚園先生補佐、美容師、肉屋等。
また、職種によっては給与を得ながら、その後2年間の修行が必須のところもあります。
たとえば、幼稚園の先生補佐という職業ならCAPの2年間で取ることが可能です。
フランスの場合、幼稚園の先生になりたいのであれば、通常は普通高校を終了後BAC+5(修士)の取得必須。
※今後制度変更があり、BAC+3+その後、見習い2年間になる予定
また、美容師さんなどはやはりCAPを2年間終えたのちに、見習いとして2年間の修行をします。
ちなみにパリ・オペラ座バレエ学校は
普通高校卒業資格を
卒業生が全員取得しています。
その後、パリ・オペラ座バレエ団に入ったダンサーの中には
パリ政治学院を修了した人もいれば、
ドーフィン大学という名門大学で
芸術遺産の修士号を取得した人もいて
パリ・オペラ座バレエのダンサーと言う肩書きだけに甘んじてはいない努力家もいます。
福利厚生で年金が保障されているフランスのダンサーであっても引退後や将来のことを真剣に見据えていらっしゃいます。
ちなみにドーフィン大学の芸術遺産の修士課程に入学するためには
- 大学卒業(BAC+3)
- 職業経験2年以上
が必要。
だから、日本のバレエに先生がバレエと学業の両立ができないと言うのは理にかなってないのです。