私たちがフランスに移住し他のが2022年の9月。そこからこの記事を書いている2024年までの間で子供達がどう成長し、変化したか、それこそが非認知能力に力を入れた教育なのではないかと思っています。

非認知能力とは、一つのことに粘り強く取り組む力や内発的に物事に取り組もうとする意欲。
心のオペレーティングシステムで、日本の数倍の貧困家庭が多いアメリカの研究によると就学前に良質な保育・教育を受けた子どもは成人後に高校卒業率が高く、犯罪率が低く、生活保護率が低く、年収が高いと言う結果が出ている。また、ノーベル経済学賞受賞者のヘックマンの「ペリープロジェクト」によると、早期教育の子供一人当たりの投資対効果は13倍と言うデータも出ている。ストレスに対処できる弾力性が高く、長期的な幸せを得るために短期的な楽しみを控える事もできる能力。

上の子は小学3年生の時にWISC-Ⅳを受け、5年生の時に結果を診断するため病院に行き、ADHD(うち子の場合は多動性はなく、注意欠陥)の診断をもらいました。その頃ちょうど、インターナショナルスクールから公立の地元の小学校に変わった頃で、日本の小学校のシステムが全く理解できず(体育座りとか前にならえとか)、授業に集中することが難しかったため、ストラテラという薬を処方してもらいました。その後は薬を服用すると眠気が襲うからということで、自分で調整しながら飲んでいましたが最近は全く飲んでいません。

というのも、フランスに移住してから必要がなくなったのです。

フランスに移住するまでの日本の公立小中学校での3年間が今振り返ると彼女にとって、一番試練だったように思います。インターナショナルスクールは先生達もそれぞれの個性を受け入れてくれていたので、上の子も精神的に自由にやれていました。

インターナショナルスクールというところは場所によるでしょうが、子供達が通っていたスクールは背の順、給食当番、掃除当番、体育座りのシステムがありません。更に言うと列になってきちんと並ぶと言うこともありません。子供達も非常にノビノビしてる子が多いように見えます。だから、日本の家庭の場合、

「子供の教育、躾がなされていない」

とみなされることもあります。

「日本の礼儀正しい、規律を守る教育」と「海外の教育」を比較するのは非常に難しく、激しい議論になるものだと思いますが、私が経験した「デンマークの教育」とその後30年後のデンマーク経済の成長と日本経済の衰退などを比較して見ていると、礼儀/日本人らしい躾、奥ゆかしさばかりを追い求めていても現在のグローバル社会の中での大幅な遅れを取り戻すのは難しいように個人的には思っています。

そして、もう一つ、一律の教育、同調圧力などが発達障害の子ども達を精神的に追い込んでることも否めないように思います。発達障害がある子供を持つ親なら学校の先生との面談でこう言ったことを言われた経験がある人も多いと思います。

  • 忘れ物が多いです。
  • 宿題をやっていません。
  • 授業中じっとできていません。(授業中集中していません。)
  • 周りの子供達と合わせない自分勝手な行動が多いです。
  • 机の中がぐちゃぐちゃです。
  • 人の目を見て話すことができません。    …など

日本の教育観からしたら全て当たり前の事だけれど、発達障害がある子達の中にはそれが難しい子達も多く存在していて、そういう子達はこの同調圧力、

皆と同じにならなくちゃいけないのに、自分だけができない。

と言うプレッシャーの中で自分を見失い、不登校の原因になっている子も多いと思います。

それで、薬などに頼るけれど結局、発達障害の薬は体に合う、合わないがあって薬の副作用で余計に精神的に辛い状況に追い込まれることも少なくありません。

以前、娘の病院の担当医に「フランスに行こうと思っているんです。」

と話した時に、担当医の口から出た言葉に驚きました。

「フランスは発達障害のケアが進んでいるからいい選択ですね。」と。

今、フランスで子供達が通っている公立中学校の担任の先生にも発達障害があることをすでに伝えているのですが、先生達の間で高校入試への特別な配慮ができないか検討してみると言ってくれています。

簡単にフランスの公立中学校と日本の公立中学校の大きな違いを表にしてみました。

🇯🇵日本  🇫🇷フランス
制服ありなし、自由
特別支援級あるところもあるあり
髪型規定あり、パーマ等禁止なし、髪型様々。多種多様
髪色規定地毛のみ、染色禁止色々。黒、金、赤、茶…
黒人の子などは付け毛に
色をつけている子もいる。
放課後の寄り道不可可
近くの商店街で友達と
軽食を食べることもある。
装飾品不可ピアス、ネックレス等可
子供達の間での
キャラ設定
上の子はよくコケるし、
忘れ物が多いので
「ドジ」キャラだった。
なし
宿題ありあり
定期テスト
(中間、期末テスト)
各学年年間5、6回中3のみ、2回
長期休み夏 1ヶ月半
冬 2週間
春 2週間
夏 2ヶ月
秋 2週間
クリスマス 2週間
冬 2週間
春 2週間
部活動での上下関係あり。先輩に敬語一切なし。皆対等
うちの子供の通っていた日本の公立中学校とフランスの公立中学校の比較
教科別の違い🇯🇵日本  🇫🇷フランス
数学の電卓使用不可使用が基本
家庭科裁縫、料理など  そもそも教科がない
日本とフランスの公立中学校の教科の大きな違い

上の表に書いた「子供達同士によるキャラ設定」と言う枠が日本の公立でうちの上の子が一番苦労していたもののように思えます。ADHDの特性である、忘れ物の多さ、よく転ぶ、持ち物がぐちゃぐちゃ(整理整頓ができない)と言うところで揶揄われていたことが多かったけれど、それのおかげで友達から可愛がられていたと言う利点もあります。ただ、その裏には自分のキャラ設定を遵守すると言う見えない力に支配されていたように思います。

インターから公立に移ってからは、性格的にも変化があって私に対して、母親はこうあるべき、卒業式・入学式には母親はこういう服を着なくちゃいけないとか、こういう振る舞いをしないといけないとか、母親として他の人とズレてはいけないという言葉を言うことが多くなりました。

また、日本に住んでいた時は家では強気の態度でものを言うのに対し、一歩外に出ると、「ママが言って。」「ママが一緒に来て。」など、本人の事でも常に、私にどうにかさせようとすることが多かったし、外食の際、自分がトイレに行きたい時には妹を絶対に一緒について来させていたし、日本の公立のテストは暗記重視のため、ワーキングメモリーが弱いからテスト結果がいつも悪いかったのですが、フランスの公立校に通い始めて一年半でそれが大きく変わりました。

まず、レストランのトイレに一人で行けるようになった事。また、成績の点でもフランスの公立では年号や人名を正確に覚えるテストではなく、主に記述式テストのため、国内インターに通っていた時同様、成績優秀者として年度末の6月に表彰されたことも大きな変化でした。

また、精神面での特に大きな変化は、私が他者に彼女の事情を説明しようとすると私の言葉を遮って、自分が説明するから!と、その相手に自分の言葉で思いを伝えられるようになったのです。

エッフェル塔の前でウクレレ弾き語り
幼少期からどんな習い事をしてきたか。

子供達が小さい時からやってきた習い事は全てスポーツ系、バレエ、ヒップホップ、水泳、乗馬など、お勉強系のものではない事に力を入れてきました。特に小さい頃から続けていた馬牧場の仕事体験で一日中(9時〜17時)、冬はマイナスの気温の中、馬小屋の掃除をしたり、ボロ(馬糞)を集めたり… 喘息が出たり、アレルギーが出ても自分に与えられた仕事を淡々とこなして行くという作業の中で、精神的に強くなった気がします。

私の教育方針はガリ勉してトップ校に入らなくていいから自分で納得いく収入を得て、鬱などの2次障害に悩む事なく人生を前向きに捉える力を養ってほしいと言うものです。その結果、学習面でも苦労する事なく、粘り強く取り組む力ができてきたと思います。また、小さい時からインターナショナルスクールでバイリンガル教育にも力を入れてきたため、フランスに移住してからは英語がベースとなって友達作りスムーズだったようです。